直前期に伸びる学力

医学部受験のための学力が最も伸びるのはいつか？

それは受験の直前期だと、和田秀樹先生は言います。第9回目は和田秀樹先生に学力が最も伸びる直前期の重要性についてお話いただきました。

第9章．受験直前に伸びる受験学力

今回は、直前期と本番の対策を論じてみたい。もちろん、高校2年生より下の人も知っておいて損はない話のつもりだ。

私は、以前から受験本番の3種の神器というものを提唱している。

学力と（本番）戦術と精神力である。

学力がなければもちろん合格できないから、みんなが一生懸命受験勉強をするわけだが、前にも過去問利用術の中で論じてきたように、受験学力というのは、センター試験や志望校の問題で何点取れるかという学力のことで、その科目の学校の成績とか、その科目の予備校で受けた模試の偏差値とかとは必ずしも一致しない。

たとえば、化学の受験学力といった場合でも、志望校が知識問題を多く出す学校と、計算問題を多く出す学校では、同じ偏差値の受験生でも取れる点が違ってくる。

当然、志望校の出題傾向にあった勉強をしてきた受験生のほうが有利だろう。

このあたりのことは以前に書いてきたことだが、今回言っておきたいことがある。

それは直前期というのはこの学力がものすごく上がる時期だということだ。

たとえば、高３になった4月のころと比べて、数学の問題を解くスピードや英文の長文を読む力、長文問題を解くスピードなどが、2倍くらいになっている人も少なくないだろう。

もう一つ、重要なポイントは、緊張感や切迫感が増していることだ。

たとえば夏休みに1日10時間は勉強するぞと思って計画を立てた人も少なくないだろうが、現実には、暑さや切迫感のなさが手伝って、５．６時間どまりだったと後悔している受験生は珍しくないだろう。

しかし、寒い上に、切迫感のあるこの時期であれば、1日12時間以上などということはざらにある話だ。結果的にこの時期には１日が夏休みの２日分になってくれる。

さらに、この時期であれば、センター対策であれ、二次対策であれ、試験に出ることしかやらなくなるから、無駄な勉強が大幅に減る。密度から言って、春先の倍くらいになっていることだろう。

ということで、この時期にうまく勉強すれば、１日が春先の８日分くらいになり得るのだ。１か月が８か月に化けることになる。

この時期に受験学力が大きく上がると信じていいし、逆転合格も決して夢でない。

直前期に体調を考えて、勉強を控えるなどをいうことはくれぐれもしないようにしてほしい。