私立専願が有利な理由

医学部に合格するための戦略として私立専願という選択肢があります。

実は避ける人が多い私立医学部ですが、専願で私立医大を狙うことには大きなメリットがあります。

第30回は医学部受験の神様、和田秀樹先生に私立専願の医学部受験のメリットをお話いただきました。

第30章．私立専願という選択肢

前回、志望校を選ぶという話をしたが、私は、今の学力で、センター対策も二次試験の対策も両方やるのはかなり難しいという出遅れ型の受験生には私立専願を勧めている。

私立は高いというイメージだが、順天堂大学や昭和大学など、大幅な値下げをやった私立の医学部もある。

東京に住んでいる受験生であれば、地方の国立に入って下宿するのと実際にかかる費用はそんなに変わらない学校もあり得るようになってきた。

また、前回説明したように、昔は私立の医学部と、とくに旧帝大などの医学部とでは、就職がすごく違うということもあったが、臨床研修制度の必修化で、就職面での不利もなくなった。

確かに私立は高いが、それによって１年早く医者になれるのなら、１年浪人しても１年長く生きられるわけではないから、生涯賃金で十分元が取れる。

私立専願だと逆転の可能性が高くなるのは、まず受験科目が少なくなり、それに特化した勉強ができるからだ。

国立だと５教科６科目のセンター試験で、８５％以上は取らないと合格はおぼつかない。

その対策だけで大変なのに、二次試験では各大学がかなり毛色の違った問題を出すし、論述問題が当たり前になっている。

私立の場合、多くの学校が、数学１００点、英語１００点、理科２００点という形で、理科に特化した勉強をしたほうが有利な配点となっている。数学が苦手なら近畿大学の医学部のように数学が６００点満点中１００点という大学もある。

帝京大学の医学部のように６科目の中から３科目を選べという大学もある。

この大学は、その６科目の中に国語も含まれているし、数学や英語を選ばないという選択も可能だ。文系的な能力の受験生には有利な学校と言えるかもしれない。

また、前回紹介した東京医大のように医学英語が入試に出される学校もあると思えば、生物で明らかに特異な対策をしておいたほうが有利な学校もある。

私立の場合は、合格者がよその大学に流れないように、自分の大学に特化した勉強をしてきた受験生をむしろ歓迎するところも少なくないのだ。

文系なら当たり前になっている私立専願というワザを使って、逆転合格を勝ち取ってほしい。