医師になるには医学部医学科に入学して6年間のカリキュラムをこなし卒業及び国家試験合格が必要です。
大学の中で最も難易度が高いのが医学部医学科です。
医学部医学科は医師になるための学科であり、設置されている大学も限られているのが特徴。
最近は医学部受験ブームによって人気・難易度ともに非常に高く、東大や京大を受けずに地方の国公立医学部を目指す受験生まで出てきています。
そんな医学部医学科はいったいどんな学生生活を送るのか。
また、医学部医学科に入学するにはどんな方法があるのかについて詳しく解説していきます。
医学部医学科は医師になるための原則唯一の方法
医師になるには日本では原則として医学部医学科を卒業して医師国家試験に合格しないと医師免許を取得することができません。
現在、日本には医学部医学科を設置する大学は、国公立50大学、私立31大学、防衛医科大学校の合わせて合計82大学あり、入学定員は約9,000名(2020年時点)。
海外の医学部を卒業した場合でも医師免許を取得できることもありますが、基本的に国内の医学部医学科を卒業して医師になるのが一般的です。
したがって、医師になる方法は非常に限定的であり、誰でもなれる職業ではないこと、そして、人の命を預かる仕事であることから医学部に入学することは非常に難しいことで有名。
高度な学力が必要で偏差値60以上が求められ、合格者の多くは名門進学校出身の学生ばかりです。
また、安定した地位と報酬が得られることから、社会人が医師を目指して医学部医学科に入り直す再受験も多いのが他学部との違いとなっています。
医学部医学科設置大学一覧【国公立】
北海道・東北 |
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旭川医科大学、北海道大学、弘前大学、東北大学、秋田大学、山形大学、札幌医科大学、福島県立医科大学
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関東・甲信越 |
群馬大学、筑波大学、東京大学、東京医科歯科大学、筑波大学、横浜市立大学、新潟大学、山梨大学、信州大学
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東海・北陸 |
浜松医科大学、名古屋大学、岐阜大学、三重大学、名古屋市立大学、富山大学、福井大学、金沢大学
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近畿 |
滋賀医科大学、京都大学、大阪大学、神戸大学、京都府立医科大学、大阪市立大学、奈良県立医科大学、和歌山県立医科大学
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中国・四国 |
島根大学、鳥取大学、岡山大学、広島大学、山口大学、徳島大学、香川大学、愛媛大学、高知大学
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九州 |
九州大学、佐賀大学、長崎大学、大分大学、熊本大学、宮崎大学、鹿児島大学、琉球大学
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医学部医学科設置大学一覧【私立】
北海道・東北 |
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岩手医科大学、東北医科薬科大学
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関東・甲信越 |
自治医科大学、獨協医科大学、埼玉医科大学、国際医療福祉大学、杏林大学、慶応義塾大学、順天堂大学、昭和大学、聖マリアンナ医科大学、帝京大学、東京医科大学、東京慈恵会医科大学、東京女子医科大学、日本大学、東邦大学、日本医科大学、北里大学、東海大学、防衛医科大学校
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東海・北陸 |
愛知医科大学、藤田医科大学、金沢医科大学
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近畿 |
大阪医科大学、関西医科大学、近畿大学、兵庫医科大学
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中国・四国 |
川崎医科大学
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九州 |
産業医科大学、福岡大学、久留米大学
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医学生のキャンパスライフと基本カリキュラム
【1年次~3年次】教養科目と専門科目で基礎を学ぶ
1年次の時間割は教養科目の履修が中心で、2年次時間割から専門科目を本格的に勉強することになり、基礎医学や臨床医学を学んでいきます。
1年次は他学部と同じキャンパスで一緒に教養学を履修するため、他学部生との交流が深められますが、2年次からは医学部医学科キャンパスに移動するのが一般的。
医学部医学科の専門科目ではPBL(問題基盤型学習)を取り入れている大学が多く、グループ単位で議論し合ったり、問題解決へと導く能力を養ったりと、能動的に勉強していくのが特徴です。
また、研究実に配属され、研究手法や考え方などを学ぶのもこの時期となります。
【4年次】共用試験CBTとOSCEを受験
4年次には全国の医学部医学科に在籍する学生が受験する共用試験CBTとOSCEが実施されます。
これまでに勉強した内容が出題範囲となっており、合格しないと臨床実習に参加することができない医学部生にとっては最初の関門です。
CBT試験は学力試験で、OSCEは実技試験となっています。
医学部医学科によっては、両試験に合格すると早くて4年次後半から臨床実習が始まります。
【5年次】臨床実習が本格的にスタート
大学の附属病院や関連病院で臨床実習(クリニカルクラークシップ)がスタートします。
少人数グループに分かれて、医師の指導・監督のもと全ての診療科をまわって実践形式でこれ学んだ知識やスキルを活かしていきます。
5年次はどの医学部医学科も参加型臨床実習がメインとなっています。
【6年次】卒業試験
6年次は臨床実習が引き続き行われ、希望する診療科でより経験を深めたり、海外の医療機関で実習を経験したりすることも可能です。
また、これまでの集大成として卒業試験および国家試験の対策にも時間が充てられます。
それと同時に、卒業後の初期臨床研修を受ける研修先を決める必要があり、全医学生と研修を行う医療機関が登録する「マッチング」というシステムを利用して研修先を決定していきます。
医学部医学科生のバイト・部活など
医学部医学科生は時間割がきつきつで、日々の講義・実習が大変なイメージが強いですが、バイトや部活・サークル、休日などはどのような感じなのでしょうか。
医学部医学科生のバイト
医学部医学科の入試をくぐりぬけた医学生は世間一般から見て、高い偏差値・学力を持っていると思われています。
そのため医学科生は塾講師や家庭教師としての人気が高いことが特徴。
一般の学部生よりも高偏差値として扱われるので、塾側や家庭側も医学科生に教えてほしいと思うことが多く、かなり高時給で塾講師・家庭教師をやることができます。
持ち前の偏差値を活かせるので、医学科生では塾講師・家庭教師をやる人が多い傾向にあります。
もちろんカフェバイトや居酒屋バイト、単発バイトをやる医学科生もいますが、割合としては少なめです。
時間割がきつきつな医学科生はシフトを組むことが難しく、こういった飲食系のバイトからは敬遠されてしまうこともあります。
医学部医学科生の部活・サークル
医学部医学科生は時間割がきつきつで、部活やサークルは軽視されているなんてことはありません。
むしろ他学部よりも体育会系の部活はハードなことが多く、大会に向けて週2、3回の練習をこなしています。
基本的に医学科生は他学部とはカリキュラム・時間割に差があるため、医学部系の部活に入部することが多いです。
夏には東医体・西医体・全医体と呼ばれる医学科生限定の一番大きな大会があるため、どの部活もその大会でいい結果を残すことを目標にしているイメージ。
文化系の部活では合唱団やオーケストラといった部活もあり、これらは大学病院内で定期演奏会を開いたりしています。
また、ボランティアを行う部活といった医学部生ならではの部活もあり、医学を学ぶものとしての心構えをより鍛えることも可能です。
医学部医学科生の休日
いくら時間割がハードとはいえ、医学部医学科生にも休日はあります。
日々が勉強で忙しい分、休日はむしろ勉強のことは忘れて完全にオフにする学生が多い印象があります。
友達と映画館で映画を見に行ったり、服を買いに行ったり、日帰り旅行をすることも。
また、翌日が休みであれば遅くの時間まで飲み会をすることも多いです。
医学科生は他の学部との交流が少なく、学部内での結束が固いため、学年で仲がいいことが特徴です。
また出会いも少ないため、学部内でカップルができることが多いです。
医学部医学科の入試制度
医学部医学科に入学するには大きく分けると下記3種類のいずれかの入試で合格する必要があります。
一般入試
最も募集定員が多いのが一般入試。
国公立大学と私立大学によって入試制度は大きく異なりますが、他学部と違う点は全ての医学部医学科で面接試験が実施されていることです。
学科試験と面接(※小論文がある大学も)の両方で合格する必要があるため、面接試験もしっかりと対策しておく必要があります。
学科試験については高度な学力が要求され、しかも苦手科目が作れず全科目で好成績を収めないと合格できないほど難易度が高いのが特徴。
2浪や3浪など多浪を経験してやっと合格を勝ち取る受験生も少なくありません。
学校推薦型選抜(推薦入試)
一般入試の次に募集枠の多いのが学校推薦型選抜(推薦入試)。
指定校推薦、学校推薦、公募推薦など様々な呼ばれ方がありましたが、今は学校推薦型選抜で統一されています。
学校型推薦選抜では、平均評定が受験資格に設けられており、高校時代の成績が合否に影響してくるのが特徴。
医学部医学科の場合だと、平均評定は全科目4.0以上と優秀な生徒しかまず受験できません。
しかも、出願条件としてほとんどの医学部医学科が1浪までと決めているため、多浪生や再受験生は利用できない試験となっています。
入試科目は、共通テスト、学科試験、面接、小論文、書類審査などが多く、合格したら必ず入学しないといけない(専願制)なのが一般入試との違いです。
推薦は一般よりも合格が容易だと大学入試で言われていますが、医学部医学科の場合は推薦入試でも高い偏差値が求められます。
総合型選抜(旧AO入試)
AO入試と聞けば知っている人も多い総合型選抜。
学校推薦型選抜との違いは学校長の「推薦状」がいるかどうかで、総合型選抜の場合は不要です。
入試科目は学校推薦型選抜と同様に共通テスト、個別学力試験、面接、小論文、書類審査などを実施。
また、総合型選抜の場合は大学が求める人物象(アドミッション・ポリシー)に合っているかも重視されるのが特徴です。
地域枠枠入試
国公立・私立大学問わず、自治体の医師確保を目的に医学部医学科入試で地域枠を設けている大学が多いです。
地域枠は一般・推薦・総合のいずれかで儲けられており、地元出身者に限定しているところも多いのが特徴。
地域枠で入学した場合、6年分の修学資金が貸与される代わりに、大学卒業後は自治体で指定された病院で一定期間医師として働くことで返済免除になります。
実質学費が免除となることから、学費の高い私立大学を地域枠で入学を希望する受験生も少なくありません。
学士編入試験
募集定員数は決して多くはないですが、社会人が医学部医学科を目指す場合におすすめなのが学士編入試験です。
私立大学では3大学ほどしか採用していませんが、国立大学ではほとんどの医学部医学科で実施しているのが特徴。
メリットとしては、1年次後半から3年次途中に編入できるので、学生生活を短縮させることができます。
また、英語・適性試験・面接で受験する大学も多く、文系出身者でも医学部に合格しやすい点が魅力です。
日本と違う?海外の医学部医学科事情
アメリカ合衆国
アメリカで日本の医学部医学科に相当するメディカルスクールは大学院となります。
まずは4年制の理系学部を卒業して学士号を取得してから4年制のメディカルスクールへ進学。
したがって、日本では6年かかりますが、アメリカの場合は医学部医学科にも卒業までに8年かかることになります。
なお、メディカルスクールに入るにはMCATと呼ばれる共通試験の受験が必須で、他にもボランティア活動や研究経験が求められ、日本の医学部医学科に入学するよりも難易度は高いと言われています。
東欧【チェコ・ハンガリー】
最近、日本人の医学部希望者に人気の留学先がチェコおよびハンガリーといった東欧諸国です。
チェコやハンガリーの医学部医学科は教育の質が高いことで評判なうえ、入学試験も日本の医学部医学科よりも容易。
しかも、東欧なら物価が安いので、日本の私立大学医学部に通うよりも経済的だったりします。
また、チェコおよびハンガリーはEU圏内であるため、医師免許取得後はEUで活躍することも可能です。
したがって、日本の医学部医学科に合格できなった場合に、解決策としてチェコやハンガリーの医学部留学を目指す人もいます。
日本で医師になりたい人が要注意な情報
日本の医学部医学科を卒業することが日本の医師免許を取得する一般的な方法です。
しかし、厚生労働省では、日本以外の海外にある医学部医学科を卒業した学生にも医師国家試験の受験資格を付与することがあります。
この場合、厚生労働省による審査が必要で必ずしも医師国家試験の受験資格が得られる訳ではない点に注意が必要です。
日本で医師として働きたいのであれば、やはり国内にある医学部医学科を卒業することが確実と言えます。
医師を最短ルートで目指すおすすめは専門予備校で受験対策
医学部医学科は医師になるまでの6年間の大学生活は他学部と比較して決して楽ではありません。
学ぶ量や範囲も膨大で、かつ、共用テストや実習などもあるので常に勉強に追われる日々。
しかも、医学部医学科には合格するまでも非常にハードルが高く誰でもなれる職業ではないことで有名。
それでも医師になりたいという強い気持ちがあるなら、専門的な受験指導が受けられる医学部予備校がおすすめです。
医学部予備校は、入学テストを実施ていない校舎がほとんどで、現時点での学力は問題ありません。
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医学部予備校は学費が高くなりがちですが、それだけの授業時間数と一人当たりの講師数の多さが魅力。
大手予備校でなかなか学力伸び悩んでいる場合は、医学部予備校の体験授業や学習相談会に参加して1日でも早く環境を切り替えて勉強することが合格のカギとなります。
まとめ
今回は、医学部医学科について6年間の学生生活や入試制度について詳しく紹介してきました。
医学部医学科は難易度が非常に難しい試験ですが、医師になる唯一の方法であるため、何年もかけて合格を目指す受験生が沢山います。
受験生活は大変ですが、合格できれば憧れの医師としての道が切り開けるため、医学部予備校などを利用して早期合格を目指しましょう。
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