医学部受験ブームの影響を受け昔に比べて難易度が非常に上がっており合格するには高い偏差値が必要です。
医学部受験ブームによって、近年は優秀な受験生は旧帝大学などトップレベルの大学よりも医学部を目指す傾向になっています。
これによって、少子化にも関わらず、医学部入試の難易度は非常に上がっており、ますます合格が難しくなっているのが現状。
医学部入試の難易度はどれくらい難化しているのか、そして、なぜ合格がそこまで難しいと言われているのか。
今回は、医学部入試の難易度をテーマに詳しく解説していきます。
ここ30年で医学部入試の難易度が急上昇
医学部受験を取り巻く環境は、ここ2、30年でずいぶん変化しました。
特に近年の医学部受験ブームの影響を受けて進学校に通う多くの受験生が医学部を目指しはじめ、国公立・私立を含め医学部全体で難易度の底上げが起きています。
過去と比較するとどれくらい医学部の難易度が上昇しているのか、ここでは国公立大学と私立大学を分けて確認していきましょう。
国公立大学医学部
国公立大学医学部の場合、私立大学と違い他の理系学部と同様の学費で済むので、サラリーマン家庭で通いやすいため人気があり難易度は高め。
ただし、近年の医学部受験ブームの影響で東京大学や京都大学の理系学部よりも、地方の国公立大学医学部の合格を目指すようになり難易度は上昇。
事実、下記の駿台が以前公表した1990年から2014年までの偏差値変化を確認してみると、偏差値が5以上増加した医学部は地方国公立大学医学部を中心に多く該当していることが分かります。
なお、山梨大学医学部の偏差値が大幅に上昇しているのは、入試を後期日程に絞ったためです。
それでも、もともと国公立大学医学部は難易度が高かったため、過去と比べても偏差値のアップ率は私立ほど高くはありません。
1994年~2014年までの偏差値上昇率【国公立】
偏差値 増加 |
大学名 |
---|---|
+9 | 山梨大学 |
+8 | 筑波大学、信州大学、 奈良県立医科大学 |
+7 | 岐阜大学、香川大学、 長崎大学、 札幌医科大学、 和歌山県立医科大学 |
+6 | 東北大学、浜松医科大学、 名古屋大学、 神戸大学、 愛媛大学、琉球大学、 大阪市立大学 |
+5 | 北海道大学、弘前大学、 群馬大学、 東京医科歯科大学、 富山大学、三重大学、 広島大学、九州大学、 佐賀大学、 大分大学、 宮崎大学、横浜市立大学 |
私立大学医学部
国公立大学医学部と比較して私立大学医学部の難易度上昇は顕著に表れています。
これは、元々私立大学医学部は昔は偏差値50台で合格できる大学もあったほど、難易度がそこまで高くはなかった医学部があったこと。
また、医学部受験ブームと、最近は受験生はリスクを回避する安全志向の人が多く、難易度の低い私立大学医学部を目指す人が増えたことも要因となっています。
こちらも駿台の偏差値変化を用いて、医学部入試の難易度の上昇傾向を確認してみましょう。
一番難易度が上がったのは東京慈恵会医科大学の+17ですが、これは以前は国公立大学医学部の前期日程と入試日が重なっていたことから、国公立大学医学部を目指す受験生が併願できませんでした。
しかし、入試日程を東京慈恵会医科大学が変更したことで、国公立大学医学部の滑り止めとして受験する人が増えたため、難易度が大きく上がったことになります。
東京慈恵会医科大学は例外としても、偏差値が10以上上がった私立大学は多く、特に新設医科大学など難易度が今までそこまで高くなかった大学の伸び率が高いことが理解できるかと思います。
1994年~2014年までの偏差値上昇率【私立】
偏差値 増加 |
大学名 |
---|---|
+17 | 東京慈恵会医科大学 |
+13 | 杏林大学、順天堂大学、 帝京大学、 東海大学、 愛知医科大学、藤田医科大学 |
+12 | 金沢医科大学 |
+11 | 北里大学、東邦大学、 聖マリアンナ医科大学 |
+10 | 獨協医科大学、埼玉医科大学、 東京医科大学、 日本大学、 大阪医科大学、近畿大学、 川崎医科大学、福岡大学 |
難易度がここまで高くなった理由
医学部の難易度が高くなった背景として、併願する受験生が増えたことの他に次のようなことも挙げられます。
理系の受験生が医学部医学科に集中した
偏差値の高い理系の受験生は医学部を志願するケースがほぼ100%で、理工系の最高峰とされる東大の理科1類や早稲田理工学部よりも、地方の国公立大学医学部の方が難易度は高い傾向にあります。
理系のエリート受験生が医学部を志願した動機は何か現役医学生へのアンケートの結果、「超難関といわれる医学部に合格したという達成感を得たかったから」といった声が多数を占めています。
つまり、医学部の難易度が高まったのは、偏差値の高い医学部がさらに偏差値の高い受験生を集めるという一種の増幅作用によるもので、この状況は今後も続くと見られています。
先行き不透明な社会で医師の安定さが魅力を増した
医学部の定員は文部科学省によって決められており、2020年は国公立大学と私立大学合わせて9330名でした。2019年は合計9420名でしたから90名減少していますが、志願者数が増加している大学もあります。
増加率ランキングで1位は筑波大学で前年比204%。倍率ランキングでは高知大学の12.5倍が1位でした(河合塾 医進塾より)。
18歳人口の減少で定員割れの学部が増えている現状において、医学部の志願者増加率や倍率が高いまま推移している理由は、医師という職業の安定性が一番に挙げられます。
難易度の高い医学部を出て、さらに難易度の高い医師国家試験を受けて資格を取得すれば社会的信用を得ることができ、世の中の景気に左右されることもなく安定した収入を確保できます。
また、医師免許があれば地方でも海外でも、行きたいところで現地の人のために働くことができるというメリットもあります。
私立の学費値下げによってサラリーマン家庭で受験できる層が増加
前述したように定員割れが生じている大学が増えており、大学経営は厳しい時代になっています。
そのような状況下にありながら6年間で3,000万円前後という高額な学費では受験生の増加は望めないということで、学費の値下げに踏み切る大学が相次いでいます。
口火を切ったのは順天堂大学で、約900万円の値下げで話題になりました。
次いで日本医科大学が約570万円、昭和大学が約500万円、東邦大学が約600万円の値下げを実施しています。
学費の値下げだけでなく、学費免除や奨学金制度などを設けている大学もあります。
これによって一般のサラリーマン家庭の子女も医学部を受験しやすくなりました。
学費がほかの学部と大差なければ優秀な受験生は難易度の高い医学部を目指す率が高くなります。その結果、医学部の偏差値が上がり、難易度が増すということになります。
医学部入試の仕組みによる合格の難しさ
医学部は最難関と言われ続けていますが、難易度を上げている試験の仕組みについて見てみましょう。
国公立大学医学部は受験科目が多く勉強範囲が広い
国公立大学志願者は共通テスト(旧センター試験)と二次試験(個別学力検査)を受けなければなりません。
共通テストでの試験科目は、外国語、数学(1、2)、国語、社会(地理歴史または公民)、理科(物理、化学、生物のうち2科目)の5教科7科目です。
私立大学単願の場合は、英語、数学、理科の3科目で、国語と社会は必要ありません。
医学部受験生が最も悩むのは社会と理科の科目選びです。
理科は「物理と化学」を選ぶがケースが多いようですが、どの組み合わせがベストとはいえません。
いろいろな情報を集めて自分にとって効率よく得点できる科目を選択することが大切です。
ミスが命取り、苦手科目が作れない
医学部は難易度が高いといっても試験内容がとくに難問というわけではありません。
出題水準は標準的な教科書レベルです。
しかし、同程度の学力の持つ受験生が集まっているわけですから、1点2点を争うことになります。
答えは分かっているのに記入の仕方を間違えたとか、計算を間違えたなどのケアレスミスは命取りになります。
ケアレスミスは癖になりやすいともいわれますから、しっかりとケアレスミス対策を講じる必要があります。
また、入試は全科目の総合点で判定されます。
得意科目で満点を取っても苦手科目がボーダーラインに及ばないというのでは合格は望めません。
苦手科目があるときは早めに克服するよう努めましょう。
面接・小論文試験が実施される
医学部の二次試験では面接と小論文試験が課されます。
医師は人間の命に直接関わる職業ですから、学力だけではなく、人間性、社会性、倫理観などが問われます。
筆記試験ではわからないそうした精神的な面や人柄を面接と小論文を通して判定していきます。
とりわけ面接は医学部試験の合否を左右するといわれるほど重要度が増しています。
京都大学では「面接で合格点に達しない場合は、学科試験の如何に関わらず不合格になることがあります」と宣言しているほどですから、面接対策を怠るわけにはいきません。
今後の医学部入試の難易度はどうなる?
以上のように医学部入試の難易度が昔と比べて大幅に上がっており、入試の仕組みも相まって合格は非常に難しい試験となっています。
医学部入試の難易度はこのまま上がり続けるのでしょうか?
様々なケースより考察していきましょう。
2021年度からは共通年テストがスタート
2021年度からセンター試験に代わって大学入学共通テストがスタート。
共通テストは、より思考力・判断力・表現力が求められる問題が多くなり、今までのセンター試験よりも難易度が高くなることが予想されますが、医学部合格には従来通り高い得点率が必要となるでしょう。
国公立大学医学部や私立の共通テスト利用で合格を目指す受験生は特に対策が重要となってきます。
医学部臨時定員増員は終わる?
厚生労働省の医師受給分科会では、2020年~2021年度の医学部入学定員の臨時定員増員は暫定的に現状通りとすることが決まっています。
しかし、2033年には医師の数が約36万人となり需給と均衡し、それ以降は人口減少、医療ニーズの減少に伴い医師が過剰になると予想しています。
分科会では、臨時定員は減少させていくべきとの意見が出ており、2022年度の以降の医学部入試では定員が減るかもしれません。
そうなると入試倍率が上がる可能性があるため、難易度は高くなることが予想されます。
医学部人気は落ち着く?
医学部受験ブームに伴い、志願者倍率が増加し難易度も高まっていましたが、2020年度の医学部入試では国公立大学前期日程で6年連続の志願者減を記録。
私立大学医学部でも志願者減および倍率が下がった大学が沢山ありました。
特に2020年はセンター試験最後の年で共通テストを見据えて浪人回避を取った受験生も多く、そのことから医学部を受けなかった人も多かった予想されます。
それでも、国公立大学ではここ最近は志願者数の減少が続いており、ブームはいったん落ち着いたとみて取れます。
しかし、医学部人気は根強く、まだまだ難易度は高いまま推移していくことが予想されています。
新型コロナの影響で医学部入試は変わるか
新型コロナによって過酷かつ危険と隣り合わせの医療現場が注目されたことで、本気で医師になりたい人を除き、医学部出願は減少するかもしれません。
近年はAIの発展が著しくデータサイエンスへのニーズも高まっており、若くて高い報酬を得ることも可能です。
したがって、特に医師という職業に地位や報酬面で魅力を感じている理系の受験生だと、医学部になって生命のリスクにさらされるよりも、エンジニアとしてGAFAや起業をしたほうが良いと考えてもおかしくはありません。
この結果、医学部を目指すよりも難易度の高い上位大学の理工学部に進学を切り替える受験生が出てくることも予想されます。
この流れが加速すれば、過度な競争も無くなり、医学部入試の難易度は落ち着くことが予想されるでしょう。
景気が悪化すれば国公立の偏差値は上がる?
新型コロナによる緊急事態宣言や海外からの入国封鎖によって日本だけでなく世界規模で経済悪化が懸念されています。
もし、新型コロナの影響が長期化し、経済が停滞してしまうと景気が悪化してしまうことで減収の被害に遭う家庭も少なくないはずです。
この結果、私立大学医学部は経済的に厳しく、国公立大学医学部を目指す受験生が増加。
これによって、国公立大学医学部の偏差値が上がり、さらに難易度が高まる可能性も否定できません。
難易度が下がるおすすめの医学部はどこ?
学費の高い私立大学医学部
私立大学医学部の場合は、学費の安さと難易度は比例していることが多いです。
新設医大の国際医療福祉でさえ学費が私立最安値であることから既に中堅レベルの難易度を誇っています。
いっぽう、学費が2020年度まで最も高額であった川崎医科大学は難易度も一番下がります。
2021年度から東京女子医科大学も4000万円台になりますが、それまで唯一川崎医科大学が4000万円を超える学費だったので、経済的に目指せる受験層は限定的で、それにより川崎医科大学は最も難易度は下がっていました。
東京女子医科大学も学費値上げによって今後は難易度が下がることが予想されます。
やはり、できる学費が安い医学部を目指すのは自然の流れ。
あえてその流れに逆らって学費の高い医学部を目指すことができれば、合格難易度を下げることがてきるということです。
地方の国公立大学医学部
受験生はやはり都市部の生活が憧れるのか、歴史の浅い大学でも都市部にある国公立大学医学部は難易度が高い傾向にあります。
また、関東にある医学部は受験生が多い東京に近いことから人気が高く、新設医大の筑波大学でも難易度はトップレベルです。
いっぽう、地方にある国公立大学でキャンパスも都市部から離れている場合は、受験生が敬遠することも多く難易度は低め。
田舎でも実績豊富な医学部は多く、商業施設など遊ぶ場所は限られますが、学習環境としては充実しており、穴場になること沢山あります。
国公立大学医学部の難易度を下げたい場合は、地方の国公立大学うを狙ってみるのも良いでしょう。
ただし、地方の底辺国公立大学医学部でも東大理系学部に匹敵する難易度があると言われているため、油断はできません。
難関入試突破なら専門予備校での対策が一番
医学部医学科の入試は非常に難易度が高く、高度な学力が求められます。
したがって、いかに効率良くバランスよく入試科目を対策していくかが重要で、知識の取りこぼしが許されません。
受験対策方法としては、独学や大手予備校を選択する人も多いですが、成功率を最も高くしたいなら医学部予備校です。
医学部予備校の場合、各予備校の公式サイトを見れば分かりますが、合格率や進学者数など信頼できるデータを公開しているところが沢山あります。
合格者数が大手と見劣りしてしまうのでインパクトに欠けてしまいますが、少人数で徹底した指導を行っているので、1年で医学部合格を実現している生徒が多いのが特徴。
しかも、医学部予備校は無選抜を採用しているところがほとんど。
難易度の高い医学部入試でも、入学時点の学力に関係なく逆転合格を目指せるのが魅力です。
生徒一人ひとりに手厚いサポートと、徹底した学習管理を行うため学費は決して安くはありませんが、難易度が高い医学部入試を最短ルートで合格が実現できることは間違いないでしょう。
まとめ
様々な状況が考えられますが、医学部入試が簡単になる予想は困難で、まだまだ高度な偏差値が要求される試験であることが予想されます。
新型コロナの影響もあり、腕試しで受験する層が減り、今後は純粋に医師を志す受験生だけになれば、志願者減少で合格の可能性は高まります。
また、2022年度以降は定員が減少するかもしれないので、それまでに医学部合格を実現してしまうのが一番です。
難易度の高い医学部入試に合格できる学力をいかに効率よく短期間で伸ばせるかが、カギとなってきています。
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医学部合格を本気で目指すなら、医学部予備校で対策することをおすすめします。
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