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医学部で人体の構造を学ぶ解剖学とは?実習や授業内容を解説

医学部で人体の構造を学ぶ解剖学とは?実習や授業内容を解説

医学部医学科では解剖学の授業で献体を使った実習を行い医師として必要不可欠な知識や手技を学んでいきます。

医学部では、1〜2年次に基礎医学のひとつである「解剖学」を学びます。

授業や実習を通して人体の構造を学んでいきますが、覚えなければならない専門用語の数が膨大で、留年リスクが高い学問といわれています。

この記事では、医学部で学ぶ解剖学とはどのような学問なのか詳しくご紹介するとともに、解剖実習の内容や手順、解剖学の留年率が高い理由について解説していきます。

医学部を志望する受験生に役立つ内容となっていますので、ぜひ参考になさってください。

解剖学とは

大学の医学部で学ぶ解剖学は、人体や中枢神経系の基本的な構造について理解するための学問です。

生理学や生化学と同様に、医学部の必修科目である基礎医学のひとつであり、授業や実習を通して学んでいきます。

医師になるにあたり、人体の構造理解は欠かせません。

医学部では、解剖学の授業と同時に、さらに理解を深めて構造に関する知識を得るため、実際に自分の手で献体(ご遺体)を解剖する解剖実習が行われています。

医学部には6年間のカリキュラムが設定されており、4年次と5年次の間に実施される共用試験に合格すると、5年次から大学病院や総合病院にて臨床実習を行います。

医学部の解剖学は、臨床実習に向けて人体の構造や組織の関係性などが説明できるよう、時間をかけて学んでいく科目です。

人体解剖学と神経解剖学の2種類がある

解剖学は、大きく「人体解剖学」と「神経解剖学」に分けられます。

人体解剖学では、人体の基本的な構造を肉眼レベルで理解するため、「肉眼解剖学」と呼ばれることもあります。

一方、神経解剖学では、中枢神経系の組織や機能、主要な神経回路などを学びます。

日本で行われる人体解剖は3種類

日本で行われる人体解剖は「正常解剖」「病理解剖」「法医解剖」の3種類であり、医学部の解剖実習は「正常解剖」にあたります。

それぞれの概要や献体期間は以下のとおりです。

人体解剖の
種類
概要 献体
期間
正常
解剖
医学部生の解剖実習のために行われ、
献体は生前に献体登録を済ませた
ご遺体がご遺族の判断のもとで使われる
1〜2年程度
病理
解剖
死亡原因の究明のために、
ご遺族の許可を得て解剖する
数時間〜
半日程度
法医
解剖
変死や事故死などの死因の究明のために、
警察の判断で解剖する
数時間〜
半日程度

実習で使う献体(ご遺体)のこと

解剖学の実習で使う献体は、腐敗しないように保存処理が施されたご遺体です。

死後に自らのご遺体を解剖実習などの献体として捧げる「献体制度」によるものであり、献体登録者の数は年々増加しています。

献体にはホルマリンが注入され、全身が固まっています。

解剖実習の際にはアルコール液にご遺体をつけてホルマリンを取り除き、ある程度和らげた状態で使用します。

献体の募集は、医学部を持つ各大学のホームページなどで募られています

献体を希望する場合は生前に献体登録をする必要がありますが、ご遺体を献体として引き渡す最終的な判断はご遺族によって行われます。

なお、献体期間は1〜2年と長期に及ぶことがほとんどです。

医学部医学科ではいつから勉強が始まる?

医学部医学科では、1、2年次から解剖学の勉強をしていきます。

医学部に入学したばかりでまだ知識を習得できていないうちから始まり、授業だけでなく実習もあるため、習得のハードルはかなり高いでしょう。

基礎医学はどの科目も暗記量が膨大ですが、その中でも解剖学は特に多いといわれています。

大学によっては、日本語だけでなく英語でも人体の名称を覚える必要があり、基礎医学の中でも特に大変な科目といえそうです。

また、解剖実習では実際のご遺体にメスを入れていくため、「怖い」「辛い」というイメージがあるかもしれません。しかし、解剖実習は多くの献体登録者やご遺族の善意によって成り立つものであることを忘れてはいけません。

医師専用サイト「MedPeer(メドピア)」の調査によると、「学生時代の基礎医学のなかで、もっとも役立った科目」について「解剖学」と回答した医師が最も多く、全体の半数近く(47.7%)を占めました。

医学部時代に学んだ解剖学は、医師になってからも特に欠かせない知識として身についているようです。

参考:PR TIMES 『「学生時代の基礎医学のなかで、もっとも役立った科目」について
半数近くの医師が「解剖学」と回答』(https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000013.000010134.html)

実習の内容と手順を紹介

医学部の解剖実習は、まず実習前にご遺体へ黙祷することから始まり、以下の手順でご遺体を解剖していきます。

  1. 頸・上肢
  2. 胸・腹
  3. 下肢・骨盤

医学部生は教授の指導のもと、時間をかけて全身をくまなく解剖し、人体の構造について理解を深めます。

自らの手でメスを入れることで、これまでの座学で習得した知識を身のあるものにしていきます。

また、はじめはホルマリンやアルコール液の匂いがきついですが、実習を進めるうちに慣れてくる学生も多いようです。

実習が終わったその後はどうするの?

実習が終わった後は、学生自身の手でご遺体を棺に収めます。

その後、故人の名前が読み上げられ、学生はここで初めて生前の名前を知ることになります。

最後に起立して黙祷し、実習は終了です。

実習に捧げられた献体は火葬され、遺骨返納式の中でご遺族のもとへ返されます。

ご遺体に注入する防腐剤の効果が出るまでに時間がかかること、実習期間が長くとられていることから、医学部へのご遺体引き渡しから遺骨の返納までには1〜2年程度かかります。

医学部で解剖学の留年率が高い理由

医学部で学ぶ学問の中でも、授業と実習の両方で理解を深めていく解剖学は特に重要な学問です。

しかし、医学部の解剖学は留年率が高い実情もあり、解剖学の習得は医学部生にとって難易度が高いと考えられます。

ここでは、解剖学の留年率が高い理由をご紹介します。

暗記量がとにかく多い

医学部の解剖学は暗記量がとにかく多く、やみくもに覚えると時間がかかり過ぎてしまいます。

そのため、自分にとって効率のよい暗記法を早いうちから身につけなければなりません。

また、聞き慣れない専門用語も多いため、医学部の勉強に慣れていない1、2年生はこの段階で挫折してしまう可能性があります。

解剖学は医学部の必修科目であり、単位を取得しなければ進級できません

膨大な暗記事項についていけずに単位を落としてしまうのが、解剖学で留年率が高くなる大きな理由のひとつです。

生物を受験していない場合は苦しむ傾向がある

医学部受験の入試科目は、生物・化学・物理から2科目を選択するのが基本です。

このうち最も暗記量が多いのが生物なため、生物を受験していると解剖学の暗記量にも対応できる可能性が高いでしょう。

化学や物理の受験が不利になるのではなく、あくまで「暗記力」のみを考えると、すでに生物で暗記力を身につけている学生の方が解剖学の暗記量に対応しやすいということです。

ただし、医学部の解剖学では複雑な専門用語も理解していかなければならないため、受験科目に関係なく覚悟して取り組む必要があるでしょう。

まとめ

医学部で学ぶ解剖学は基礎医学のひとつであり、単位が落とせない必修科目です。

授業と実習を通して、人体や中枢神経系の基本的な構造を1、2年次から学んでいきます。

解剖実習で使われる献体は、生前に献体登録をした方やご遺族の判断によって引き渡されたものです。

解剖実習はこうした方々の善意のもとで成り立っており、実習の際には倫理面に配慮することが求められています。

また、医学部の基礎医学はどの科目も暗記量が多いですが、解剖学は特に膨大な量を覚えていかなければならず、聞き慣れない専門用語も多々出てきます。

暗記量の多さから単位を取得できず、留年になる医学部生が多いのも解剖学の特徴のひとつでしょう。

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