志望校を決める。

志望校が決まっていない方は、志望校を早めに決めること。これこそが、大学ごとに出題形式が大きく異なる医学部受験では合格の鍵になると、医学部受験の神様、和田秀樹先生は言います。

まだ志望校が決まっていない方は、ここでもう一度その重要性を考えてみましょう。

第58章．改めて志望校を決める

前回、過去問を使って、「あと何点取る」というテクニックを伝授した。

しかし、それができない人もいる。

志望校が決まっていない人だ。

このコラムを今年の初めから読んでおられる方なら、早めに志望校を決める意味を考えていたかもしれないが、それでも、受験生の心情としては、成績が上がれば、少しでも上のレベルの学校に行きたくなるだろうし、下がってくれば大事をとって志望校のランクを落とすことだろう。

志望校型の勉強をしてきた人であれば、これまでの勉強が無駄になることが多いし、下のランクであったとしても、必ずしも傾向が今までやってきたことと違っていれば、受かりやすくなるとは限らない。

また、上のランクを受けてリスクを取るより、とくにこれまで志望校に合わせた勉強をしてきた人にとっては、手堅く志望校に合格するほうが賢明だ。

偏差値が足りるようになったとしても、その学校の対策をしていない場合、出題傾向がこれまで勉強してきたこととで対応できないことも珍しくないので、結果的に時間が足りないということになりかねない。

それ以上に、臨床研修制度が必修化されて以来、どこの大学を出ていても、行きたい病院で研修できる（もちろん、そのためのマッチングというテストがあるが、受かるためには、むしろ大学に入ってからの成績が重視されるので、下のランクの学校にいったほうがいい成績がとりやすいだろう）のだから、上のランクの学校のほうが地元にずっと近いなどということがなければメリットがない。

問題はこれまで志望校を決めてこなかった受験生だ。

何度かこのコラムでも触れたように、医学部受験の大きな特徴は、学校によって出題傾向が大きく違うということだ。

模試の偏差値をあてにするのがそれだけ困難になっている。

少なくとも、この11月くらいには志望校を決めて、その大学に受かる対策をしておかないと、いくつも似たような偏差値の大学を受けて全滅ということになりかねない。

志望校さえ決まれば、過去問を見てターゲットを絞った勉強ができる。

多少、偏差値が上の学校でも、相性がよければ合格の可能性は高まる。たとえば数学が得意な人なら数学の難しい学校を受ければ、そのほうが有利だろう。

今の時期の受験対策でいちばん大切なのは、何冊か過去問を買ってきて、志望校をしっかりと決めることなのだ。