医学部入試の面接

医学部受験の最終関門として、面接があります。

今回、第47回は、面接の裏に潜む背景もよくご存知の医学部受験の神様、和田秀樹先生より、面接が行われる理由と、心構えなどについてお話をお話いただきました。

第47章．医学部入試面接は落とすためのもの

さて、これまで科目別の医学部受験対策を論じてきたわけだが、センター社会などの対策（これは短期完成はそう難しくない）の話をする前に、医学部入試面接対策の話をしたい。

現在では、東大などを除いて、ほとんどの医学部では入試面接が行われている。

ただ、この入試面接は最近はやりのＡＯ入試などの面接とは大きく意味づけが異なっている。

ＡＯや推薦入試（とくに自己推薦入試）などでは、面接の点がよければ、ペーパーテストの点が多少悪くても逆転合格があり得る。

ところが、医学部の入試面接では、原則としてペーパーテストの点数が悪いのに、入試面接で逆転ということはあり得ない。

では、何のために入試面接をやるのかというと、「落とすため」である。

以前から問題になっていることだが、偏差値が高いとか勉強ができるというだけの理由で、たいして医学に興味や関心がないのに、あるいは、患者と話したり、血を見るのが嫌なのに、医学部を受験する受験生は少なくない。

そういう人が医学部に入学した場合、医者に向かないといって医者をすぐやめたり（解剖実習に耐えられなくて中退ということもあるらしい）、条件がよければ外資系の金融機関やコンサルタント会社に入ってしまうなどということもある。

国立大学の医学部の場合、卒業するまでに年間約１０００万円の公費が使われる。もしその学生が医者にならなければ、その分国が損をしてしまうのだ。

だから、医学部の入試面接は、そういう受験生を入れないため、落とすために行われると言っていい。

せっかく勉強して、ペーパーテストでは合格ラインを超えていても、面接で落とされてしまうことがあるのが、医学部入試の怖いところと言っていい。

次回以降は、どういう受験生が落とされ、そうならないためにはどんな対策をすればいいのかを説明してみたい。