朝の５分の計算

朝、５分の計算を受験当日まで続けること。これにはものすごく大きな効果があると医学部受験の神様、和田秀樹先生は言います。今回お話いただいた内容は、シンプルでいて、効果絶大な方法です。

第61章．朝の５分の計算の意味

これまで、受験の日までの残された日々でどうすれば点数をあげていけるかという話をしてきた。

そのためにはやるべき課題や範囲をきちんと見定めて勉強をしたほうがいいということだったが、それ以上に得点力に結びつく勉強がある。

それは計算力を伸ばすことだ。

センター試験にしても、私立の試験にしても、二次試験にしても、計算ミスは許されない。それがなくなるだけで、１０～２０点の得点力がアップしたのと同じだという試算もある。

そのために計算力が必要なのだが、とくに重要なのは中学受験でやるような面倒くさい四則計算である。

今の受験生はなんらかの形で、ゆとり教育（２０１１年から今の学習指導要領に完全移行した）のカリキュラムを小中学生時代に受けてきている。

そのため、中学受験を経験していない子供たちの計算問題のレベルは低く、十分な練習をしていない子供が少なくない。

親の意識が高かったり、中学受験のときにみっちり鍛えられて、計算には自信があるという人なら別だが、そうでないなら、受験の時期（早いスタートならそのほうがベターなので、高校１年生や２年生の読者の方も今始めたほうがいい）にきちんと計算練習をしておくことが得点力に直結する。

これは数学に限らず、理科にしても、化学や生物は四則計算しか出ないので、中学受験レベルの計算力はやはり大切だ。

また計算というのは、正確でミスがないだけでなく、スピードを上げることにも意義がある。計算が速ければ時間切れになるリスクが減るし、考える時間も余計に取れる。

それ以上に、今の受験生に勧めたいのは、朝の起き抜けの５分の計算練習だ。

それをすることで記憶力や集中力などが上がって、その日の勉強のノリがはるかによくなる。

これは東北大学の川島隆太先生の研究でも明らかにされているし、塾も予備校もない田舎の学校から１８人中８人を現役で国公立の学校に合格させた陰山学級でも実証されていることだ。

起き抜けの５分の計算練習という習慣が、ミスを減らし、スピードを上げ、受験までに残された時間の密度を上げてくれる。これをやらない手はない。