脳のコンディションを整えることの重要性

集中力を高めるためには、まずは脳のコンディションを整えることが重要である。

今回はより集中力や意欲を高める上でどういったことが大切なのかを、医学的見地からこれまで数々の医学部受験をサポートしてきた、受験アドバイザーである和田秀樹先生に解説をして頂きました。

第64章．直前期の生活術

前回、直前期は集中力が高まり、日日の勉強量が増えるので、思い切り勉強をしたほうがいいという話をした。

ただし、集中力が高まるためには、実は条件がある。

それは脳のコンディションがいいということだ。

たとえば、勉強のしすぎで寝不足になってしまうと、いくら集中力が高まる時期と言っても能率は落ちるし、実際、勉強量も減ってしまう。

自分のベストの睡眠時間というのは、個人差があるが、それをつかんだ上で、覚醒状態のいい形でラストスパートをかけたい。

脳というのは、朝起きてから３時間後ぐらいからベストコンディションになるとされているが、だとすると本番の日の試験開始時間が９時なら６時には起きているようにしたい。

ただ、時差ボケという言葉があるように、その日だけ６時に起きても、９時でも目が覚めていないことがある。

だとすると本番の日の１か月前には６時起きを習慣づけておきたい。急に６時起きにすると翌日の勉強時間が無駄になるので、１日５分ずつ早起きをするというようなやり方を摂りたい。

早寝・早起き・朝ごはんが脳を活性化し、学力を上げるというのが、１００マス計算などで多くの子どもたちの学力を上げ、塾も予備校もない田舎の学校から多くの国立大学や医学部合格者を出した陰山英男先生の主張だが、少なくとも脳の栄養素としてのブドウ糖は重要だ。

朝ごはんをきちんと食べたり、受験勉強で小腹がすいたときなどに糖質の多いおやつを摂るなどは脳のコンディション作りに有用だ。

セロトニンという神経伝達物質が不足するとイライラや不安が高まるとされ、逆にそのレベルが高いと集中力がつくとされている。

この材料であるたんぱく質はやはり多めに摂っておくに越したことはない。

日中に日光に当たったり、部屋を明るくするとセロトニンの分泌が高まるとされている。

直前期のちょっとした生活習慣で脳のコンディションがずっとよくなり、集中力や意欲が維持される。ここまで書いてきたことはほぼ実証済みのことばかりなのでぜひ試してほしい。