読解力の重要性

医学部受験の神様と言われる和田秀樹先生に聞く医学部合格への道、第7回目は、前回に引き続き、学力が伸びない理由は基礎学力にあるというお話です。

今回は更に突っ込んで重要な基礎学力についてお話いただきました。

第7章．絶対基礎学力としての読解力

前回、医学部受験のためには絶対基礎学力というべきものがあるという話をした。

小学校レベルの計算力や中学レベルの数学の（算数から数学に上がってからの）基礎学力、あるいは中学レベルの英語の基礎学力などだ。

しかし、私は、それ以上に、どんな受験勉強をする際にも土台になる基礎学力があると考えている。

それは、読解力である。

実は、私がゆとり教育の反対運動をしていた際に、多くの同志は数学者だった。

そして、日本人の数学力が世界一だったのに、アジア各国に負けているということを憂える人たちばかりだった。

ところが、当時から国際ランキングではるかに数学力より順位が低かったのは自国語の読解力だった。

その後、ネットの普及で高校生くらいでも新聞を読まないのが当たり前となり、長文のブログが敬遠され、１４０字までのツイッターがはやったり、もっと短いLINEの即返しが当たり前のコミュニケーションになっているのだから、中学生や高校生の読解力はかなり怪しくなっているはずだ。

現実に高校の物理の先生に話を聞くと、物理の問題がわからない以上に、物理の問題の意味を読めない高校生が多いと嘆いておられた。

英語にしても、とくに医学部英語は長文がトレンドだが、その訳文を読んでも意味が取れないということは珍しくない。

実際、いくら解答のわかりやすい問題集や解説のわかりやすい参考書を読んでも読解力がなければ理解できないだろう。

ただ、この読解力をつけるトレーニングが意外に自学では難しい。

中学受験用の国語の問題集や参考書をやるというのも一つの手だ。それでも難しく感じるかもしれないが。

出口の論理エンジンシリーズやシステム中学国語などは、この手の論理的読解力をつけるための稀有な参考書だ。

受験を契機に読解力をつけることは、医者になってからも一生役立つことは請け合っておきたい。