医学部合格への道
受験する大学に的を絞った対策を行う(医学部合格への道/第3回)

医学部ごとに傾向を使む

『医学部合格への道』第3章.過去問を使って、その学校に的を絞った対策を行う

医学部受験は学校ごとに傾向を掴むことが非常に重要。

医学部は今でも単価の大学が多く、入試は科目ごとに相当な偏りがあるとのこと。

どのように傾向を掴み、どのように受験対策を行っていくのか。医学部受験の肝であるこちらについて和田秀樹先生にお話いただきました。

第3章.過去問を使って、その学校に的を絞った対策を行う

前回、医学部受験においては、同じ偏差値や同じセンターの得点率でも、大学によって、重点科目や勉強のペース配分が違ってくるという話をした。

それ以上に、医学部受験の場合は、過去問をみて、その大学特異の対策をしておかないと大幅失点の可能性があるという問題がある。

まず、一つ考えておかないといけないのは、医学部というのは、今でも単科の大学が多いということだ。

たとえば、関東の受験生にしてみると、東京医科歯科大学は、確かに歯学部も看護系の学部もあるが、総合大学と比べると、数学や物理の問題を作成できる教員が少ないことは否めないだろう。

東大の場合、理学部数学科(基本的には大学院数理科学研究科と兼任する)の教員が教授だけで29人、常勤教員ポストが60人いる。そのほかにも教育学部や教養学部にも数学の問題が作れる教員がいるだけだ。

私の知り合いの数学科の先生に聞いても、自分の作った問題が採用されるのは、5年に一度くらいだという。

ところが、医科歯科大学であれ、浜松医大であれ、おそらく数学の問題を作るのは、数人(下手をすると一人)の教養学部用の数学の教員だけだろう。多くの私立医大(ここも単科が多い)でも似たような状況のはずだ。

それだけ、傾向が偏りやすくなり、また読みやすくなるのは当然のなりゆきだ。

それ以上に鬼門は生物だ。この科目に関しては、単科の医学部の場合、教養課程用に雇われた生物の先生のほか、医学部の教員が問題を作っていると思われる学校が多い。

生理学や生化学の教員が問題を作るのだ。そのため、高校範囲のレベルを超えたような計算問題などが出ることもある。また解剖学の教員が作るためか、人体の複雑な問題が出ることも珍しくない。

いずれにせよ、対策をしていかないと数十点の差をつけられてしまうし、逆にその対策をしておけば、かなり有利になれる

そのほか、東京医大のように、英語の問題で医学用語を注なしで出題する学校もある。これも一般の単語集に出ていないが、キーワードになることが多いので、対策をしていないと大幅に減点される可能性がある。

倣っていない範囲が出ていると受験直前に焦っても手遅れになりかねない。過去問を見て、その学校独自の対策を行うことが受験を大きく有利なものにする。

プロフィール
和田秀樹

和田秀樹

1960年生まれ。東京大学医学部卒業後、現在国際医療福祉大学院教授を含め川崎幸病院精神科顧問や一橋大学経済学部非常勤講師、和田秀樹こころと体のクリニック院長など幅広く活躍中。

書籍では「受験は要領」がベストセラーとなり、医学部合格セミナーを全国で展開し「和田メソッド」を提唱、医学部受験の神様と呼ばれている。また、自身では和田塾緑鐡舎塾長も務め毎年無名校から多くの合格者を輩出している。

目次(※随時更新中)
  1. 第1章.過去問を有効に活用する
  2. 第2章.過去問を使って、どの科目に重点をおくかを考える
  3. 第3章.過去問を使って、その学校に的を絞った対策を行う
  4. 第4章.過去問を使って、志望校を決める
  5. 第5章.医学部受験の共通学力とは
  6. 第6章.医学部受験のための絶対基礎学力とは
  7. 第7章.絶対基礎学力としての読解力
  8. 第8章.意外にわからない絶対基礎学力の不足
  9. 第9章.受験直前に伸びる受験学力
  10. 第10章.本番戦術が合否を決める
  11. 第11章.信じるものが救われる本番に向かう精神力
  12. 第12章.意外に難しいケアレスミス対策
  13. 第13章.ミスらん力で合格を勝ち取る
  14. 第14章.センター本番で最善の力を出すには
  15. 第15章.センター本番で最善の力を出すには(その2)
  16. 第16章.センター試験が終わった時点で、本格的な受験生になる
  17. 第17章.個別性に注目して、最後の逆転にかける
  18. 第18章.過去問の最終利用法(※編集中)
  19. 第19章.受験当日の生活術
  20. 第20章.受験のスタート術
  21. 第21章.受験生と高校生の違いとは?
  22. 第22章.記憶力をどう高めるか?(※編集中)
  23. 第23章.ベストの睡眠時間は?
  24. 第24章.食事の意味
  25. 第25章.時間の家計簿をつける
  26. 第26章.休息の意味
  27. 第27章.和田式受験勉強法とは
  28. 第28章.まず志望校を選ぶ
  29. 第29章.志望校の選び方
  30. 第30章.私立専願という選択肢
  31. 第31章.スタートレベルを知る
  32. 第32章.現実的な受験計画を立てる
  33. 第33章.受験計画が具体的なものにならない人のために
  34. 第34章.一日、一週間、一カ月の計画をどう立てるか?
  35. 第35章.受験勉強の暗記と思考のバランス
  36. 第36章.和田式暗記数学とは
  37. 第37章.和田式暗記数学とは(その2)
  38. 第38章.和田式医学部受験英語攻略法
  39. 第39章.医学部受験対策にこそ和田式受験英語勉強法
  40. 第40章.医学部受験と英作文
  41. 第41章.自由英作文という難敵
  42. 第42章.医学部国語対策の基本戦術
  43. 第43章.医学部理科対策の基本戦術
  44. 第44章.過去問から逆算する医学部理科対策
  45. 第45章.単科の医学部は、とくに過去問対策が重要
  46. 第46章.単科の医学部の生物対策
  47. 第47章.医学部入試面接は落とすためのもの
  48. 第48章.どんな受験生が面接で落とされるのか?
  49. 第49章.医学への興味や関心を示す
  50. 第50章.医学小論文対策の基本
  51. 第51章.小論文そのものの対策の基本
  52. 第52章.小論文の最大のトレーニングは添削
  53. 第53章.模試をどう利用するか
  54. 第54章.模試によって次回以降の戦術を立てる
  55. 第55章.模試の成績を気にしすぎない
  56. 第56章.最高の模試は、自分の志望校の入試問題だ
  57. 第57章.あと何点取れれば受かるという発想をもつ
  58. 第58章.改めて志望校を決める
  59. 第59章.主要科目の見切り時
  60. 第60章.浪人のための得点術
  61. 第61章.朝の5分の計算の意味
  62. 第62章.直前期に脳の働きを高める
  63. 第63章.直前期に思い切り勉強する
  64. 第64章.直前期の生活術
  65. 第65章.直前期の休み方
  66. 第66章.センター直前はシミュレーションが明暗をきめる
  67. 第67章.ミスの事前対策を行う
  68. 第68章.これからが本格的な受験生になる
  69. 第69章.高2生もこれからが本格的な受験生になる
  70. 第70章.受験直前でもまだ伸びる
  71. 第71章.受験本番に強くなる法(その1)
  72. 第72章.受験本番に強くなる法(その2)
  73. 第73章.受験本番が終わったら
  74. 第74章.受験がうまくいかなかったら
  75. 第75章.2020年入試改革の傾向と対策(その1)
  76. 第76章.2020年入試改革の傾向と対策(その2)
  77. 第77章.2020年入試改革の傾向と対策(その3)
  78. 第78章.2020年入試改革の傾向と対策(その4)