模試を学力アップに活用

模試は自身の仕上がりを確認することができ、失点をしてしまった箇所など、足りない点を重点的に勉強し直していけば、模試を受ける度に学力が上がっていきます。

この模試の活用方法について、今回も医学部受験の神様、和田秀樹先生に詳しくお話していただききました。

第54章．模試によって次回以降の戦術を立てる

前回、模試の一般的な利用法をお話ししたわけだが、実は、その中の二つ目の利用法である「自分の仕上がり状況の確認や、どういうミスをするか、時間配分はどうかなどのチェックのため」というほうが、受験生にとってははるかに重要である。

模試を受けると、いろいろな課題が見えてくる。

英語なら、そこそこ文法力や語彙力をつけてきたのだが、まだまだ速読力が足りなくて、時間切れになってしまった。

数学なら、まだ数３部分が、ほとんど仕上がっていない。

化学はある程度仕上がっているが、物理は波動などほとんどできるようになっていない。
などなどである。

模試を受けることでそういうことに気づくことができれば、次回の模試までに、そういう課題を重点的に勉強することで、次回は少しでも成績を上げることができるだろう。

この場合、課題は個人差があるから、学校の授業や予備校のカリキュラムより、この時期になれば、そちらを重視したほうが、自分の学力は上がることになる。

もちろんできているところでも、メンテナンスは必要だが、やはり課題になっているところを勉強したほうが、成績は上がる。無駄な勉強をするより、身になる勉強をしたほうが賢明だ。

もう一つ重要なのは、何で失点したかの分析である。

勉強をやっていないのでできなかったのか、勉強をしているはずのところができなかったのか、あるいは、ミスだったのか？

やっていなからできないのなら、それは明らかに課題である。

しているはずなのにできないのなら、復習の不足か、理解がうまくいっていないことを示すし、かなりやったり、予備校で講習を受けたはずなのに、それでもできていないのなら、これからもやってできるようになる保証がないということだから、当面は「捨てる」勇気も必要だ。ほかのことに時間をかけたほうがはるかに賢明だからだ。

もう一つ、重要なのは、ミスによる失点の場合、それが問題をきちんと読んでいなかったせいなのか、早とちりか、計算ミスかという風に、ミスのパターンを分析することだ。それができれば、それに応じた対応もできる。

模試を受ける重要なポイントに、模試で一度したミスは、二度としないようにするということがある。

以上のようなことに注意すれば、模試のたびに、受験学力が上がり、昨日より今日、今日より明日が賢くなる受験生になれる。逆転合格はこういう受験生がするのだろう。