暗記と思考

受験勉強をする際には、暗記型の勉強と思考型の勉強のバランスが重要だと医学部受験の神様、和田秀樹先生は言います。

具体的にはどういうことなのか？和田先生に詳しく教えていただきました。

第35章．受験勉強の暗記と思考のバランス

少し前に、和田式受験勉強法とは何かという話をしたが、志望校の合格最低点を目指せということのほかに、私が強調してきたことに、点を取るため、受験勉強を進めていくために、暗記と思考のバランスを考え直せということがある。

たとえば、世間では、日本史や世界史のような社会科の科目は暗記科目と思われているし、数学や物理は思考科目と考えられている。

暗記と思考のバランスが、受ける大学によって違う科目というと、化学や生物くらいだろう。学校によっては暗記事項が多いところもあれば、計算問題をたくさん出すところもある。

ただ、私のいう暗記と思考のバランスというのは、暗記で解ける問題が何割、思考で解く問題が何割ということではなく、勉強の中で暗記と思考をどの程度行うとベストかを考えろということである。

たとえば、暗記科目とされている社会科にしても、教科書の丸暗記より、問題集をやることでどこが出ているのかを把握してから勉強しておくほうが効率的なことが多い。少し、そういうことを考えることで点があがっていくはずだ。

逆に、公式だけ覚えてあとは考えろとされている数学については、公式がどのように使われているかという解法を覚えておいたほうが、問題を解く際に、あの解法が使えそうだと思えて、実際にできることが多い。

将棋にしても、コマの進め方を知っているだけではなかなか勝てないが、棋譜といって、どんな風に試合が進んでいくのかのパターンをたくさん覚えているほうが強くなるものだ。

要するに、暗記を増やして思考を減らしたほうが、多くの受験生にとっては、時間の節約にもなるし、点数も上がることになる。

英語にしても、単語や熟語を６０００とか１万も覚えるより、基礎的な２０００語くらいを覚えたら、どんどん文章を読み、意味を考えながら、その中で出てくる単語を覚えていったほうが、時間の節約にもなるし、実際の試験で取れる点数も上がるはずだ。

もちろん暗記と思考のバランスには個人差がある。暗記をたくさんするほうが得意な人も、思考をたくさんするほうが好きな人もいるだろう。

その場合は自分の特性に合った勉強をするという。

受験を上手に進めていくために、自分に会った暗記と思考のバランスを考えてみる機会はもつに越したことはない。