医学部合格への道
医学部受験の理科志望校対策(医学部合格への道/第44回)

理科の志望校対策

『医学部合格への道』第44章.過去問から逆算する医学部理科対策

理科で高得点を取りたいのであれば過去問研究は確実に。

医学部受験における理科は、大学ごとに出題の傾向が大きく異なります。

故に志望校対策が必須となります。今回、第44回は、医学部受験の神様、和田秀樹先生より、その対策方法について詳しくお話いただきました。

第44章.過去問から逆算する医学部理科対策

さて、前回は医学部理科対策の基本的なスケジューリングについて論じたが、もう一つ重要なのは、医学部理科というのは、志望校によって、出題傾向がまったく違うことだ。

たとえば、化学の問題を学校によって、覚えものの科目、つまり細かい知識を問い、それを覚えてくれば高い点が取れるような出題をする大学もあれば、逆に計算問題・考察問題をたくさん出すように思考科目と考えている大学もある。

たとえば、北海道大学の化学の入試問題では、理論問題でも細かい知識が問われる。いっぽう、千葉大学の入試問題では、知識問題は少なく、計算・考察問題が中心となる。

すると、北大を受けたいのなら参考書を使って細かい知識を詰め込んでいかないといけないことがわかるし、逆に千葉大学では、問題演習を重ねる形の受験対策が得策ということになる。

過去問で傾向をつかんでおかないとまともな対策ができないわけだ。

3科目のうちから2科目を選ぶ際にも、過去問をみておくと役に立つ。

最近のトレンドとして、医学部は生物受験を求めている印象がある。

前回話題にしたようにセンターで受けていない科目を二次で受験しないといけない大学があるということは、必ず生物を勉強しなければいけないという意思表示だろう。

ところが国立の総合大学では、そうでないケースもある。

というのは、現在、受験生が難しいと感じる物理離れが問題になっており、理系の教育の世界も文部科学省も物理受験者を増やしたいという意図があるからだ。

実際、昔と比べて覚えものの比率が高まり、問題も易しくなっている。

とくに、昔は東京教育大学だった筑波大学などは、明らかにその傾向が見られる。

筑波大学の入試物理は、典型的な設定の問題が多く、センター試験に毛の生えたくらいのレベルの問題と言える。仮に満点は難しくても、9割は狙えるような問題だ。

いっぽうで、生物の問題は相当に難しい。

見なれない設定の考察問題も出るし、計算問題も頻出される。これは計算問題が苦手で生物受験を選択する人にはつらいパターンだ。

さらに100字論述の問題が複数出題された年もある。これも理系の受験生にはつらいだろう。いいとこ7,8割狙いが現実的なところだ。

つまり、筑波大学受験をするなら、物理選択が圧倒的に有利なのだ。

このように理科対策は過去問の分析が欠かせない。

科目の学力をあげるという発想を捨て、志望校を決め、過去問を見た上で、受験対策をするほうが圧倒的に得策だろう。

プロフィール
和田秀樹

和田秀樹

1960年生まれ。東京大学医学部卒業後、現在国際医療福祉大学院教授を含め川崎幸病院精神科顧問や一橋大学経済学部非常勤講師、和田秀樹こころと体のクリニック院長など幅広く活躍中。

書籍では「受験は要領」がベストセラーとなり、医学部合格セミナーを全国で展開し「和田メソッド」を提唱、医学部受験の神様と呼ばれている。また、自身では和田塾緑鐡舎塾長も務め毎年無名校から多くの合格者を輩出している。

目次(※随時更新中)
  1. 第1章.過去問を有効に活用する
  2. 第2章.過去問を使って、どの科目に重点をおくかを考える
  3. 第3章.過去問を使って、その学校に的を絞った対策を行う
  4. 第4章.過去問を使って、志望校を決める
  5. 第5章.医学部受験の共通学力とは
  6. 第6章.医学部受験のための絶対基礎学力とは
  7. 第7章.絶対基礎学力としての読解力
  8. 第8章.意外にわからない絶対基礎学力の不足
  9. 第9章.受験直前に伸びる受験学力
  10. 第10章.本番戦術が合否を決める
  11. 第11章.信じるものが救われる本番に向かう精神力
  12. 第12章.意外に難しいケアレスミス対策
  13. 第13章.ミスらん力で合格を勝ち取る
  14. 第14章.センター本番で最善の力を出すには
  15. 第15章.センター本番で最善の力を出すには(その2)
  16. 第16章.センター試験が終わった時点で、本格的な受験生になる
  17. 第17章.個別性に注目して、最後の逆転にかける
  18. 第18章.過去問の最終利用法(※編集中)
  19. 第19章.受験当日の生活術
  20. 第20章.受験のスタート術
  21. 第21章.受験生と高校生の違いとは?
  22. 第22章.記憶力をどう高めるか?(※編集中)
  23. 第23章.ベストの睡眠時間は?
  24. 第24章.食事の意味
  25. 第25章.時間の家計簿をつける
  26. 第26章.休息の意味
  27. 第27章.和田式受験勉強法とは
  28. 第28章.まず志望校を選ぶ
  29. 第29章.志望校の選び方
  30. 第30章.私立専願という選択肢
  31. 第31章.スタートレベルを知る
  32. 第32章.現実的な受験計画を立てる
  33. 第33章.受験計画が具体的なものにならない人のために
  34. 第34章.一日、一週間、一カ月の計画をどう立てるか?
  35. 第35章.受験勉強の暗記と思考のバランス
  36. 第36章.和田式暗記数学とは
  37. 第37章.和田式暗記数学とは(その2)
  38. 第38章.和田式医学部受験英語攻略法
  39. 第39章.医学部受験対策にこそ和田式受験英語勉強法
  40. 第40章.医学部受験と英作文
  41. 第41章.自由英作文という難敵
  42. 第42章.医学部国語対策の基本戦術
  43. 第43章.医学部理科対策の基本戦術
  44. 第44章.過去問から逆算する医学部理科対策
  45. 第45章.単科の医学部は、とくに過去問対策が重要
  46. 第46章.単科の医学部の生物対策
  47. 第47章.医学部入試面接は落とすためのもの
  48. 第48章.どんな受験生が面接で落とされるのか?
  49. 第49章.医学への興味や関心を示す
  50. 第50章.医学小論文対策の基本
  51. 第51章.小論文そのものの対策の基本
  52. 第52章.小論文の最大のトレーニングは添削
  53. 第53章.模試をどう利用するか
  54. 第54章.模試によって次回以降の戦術を立てる
  55. 第55章.模試の成績を気にしすぎない
  56. 第56章.最高の模試は、自分の志望校の入試問題だ
  57. 第57章.あと何点取れれば受かるという発想をもつ
  58. 第58章.改めて志望校を決める
  59. 第59章.主要科目の見切り時
  60. 第60章.浪人のための得点術
  61. 第61章.朝の5分の計算の意味
  62. 第62章.直前期に脳の働きを高める
  63. 第63章.直前期に思い切り勉強する
  64. 第64章.直前期の生活術
  65. 第65章.直前期の休み方
  66. 第66章.センター直前はシミュレーションが明暗をきめる
  67. 第67章.ミスの事前対策を行う
  68. 第68章.これからが本格的な受験生になる
  69. 第69章.高2生もこれからが本格的な受験生になる
  70. 第70章.受験直前でもまだ伸びる
  71. 第71章.受験本番に強くなる法(その1)
  72. 第72章.受験本番に強くなる法(その2)
  73. 第73章.受験本番が終わったら
  74. 第74章.受験がうまくいかなかったら
  75. 第75章.2020年入試改革の傾向と対策(その1)
  76. 第76章.2020年入試改革の傾向と対策(その2)
  77. 第77章.2020年入試改革の傾向と対策(その3)
  78. 第78章.2020年入試改革の傾向と対策(その4)