主要科目の見切り方

医学部受験では、志望校が決まって、追い込みの時期には伸び代を考えて集中すべき箇所を決めることが大切です。

今回、医学部合格への道第59回では、医学部受験の神様、和田秀樹先生に主要科目の見切り方と、集中すべき箇所の決め方をお話いただきました。

第59章．主要科目の見切り時

志望校がきまり、過去問を使って勉強をするようになった場合、考えないといけないことに、どの科目なら、点数を上げやすいかということだ。

あと何点で合格ということであれば、どの科目なら大幅に伸ばせそうかという見積もりが大切になる。

過去問をやって数学が5問中2問しか解けなかったというような場合、3問に上げることができれば確かに２０点伸びる。そういう点では、数学をもっとやらなければという気になるかもしれない。

確かに数Ⅲ範囲にあまり手がついていないのなら、それを短期完成させることで、数Ⅱ範囲の問題を1題ないし、２題ゲットということはありえるだろう。

ただ、たとえばベクトルのようなものだといつも点が取れないというような場合、これまでそれなりに勉強してきたのにできないわけだから、運よく、よほどわかりやすい予備校の講義などに出会って、すっきりわかるようになったというようなことがなければ、やっている割に伸びないということになりかねない。

今、点が取れていないところで、どこならやれば伸びそう、どこなら期待できないという見積もりがうまくできる受験生が逆転合格していくのだ。

そう考えた場合、とくに現役生の場合は、これまでどちらかというと手つかずのところや覚えものが多い理科ののびしろが大きい。

物理をいくらやってもわかるようにならないというのなら、あえて物理受験をあきらめるなどということも考えないといけないだろうが、化学や生物であれば、覚えるところをきちんと覚えていけば、かなりの伸びが期待できる。

また、物理の場合は三角関数やベクトルなど使う数学のレベルが比較的高いが、化学や生物では原則的に四則計算なので計算はややこしいが、慣れれば点がとりやすい。

私立の医学部の場合、英語100点、数学100点、理科200点という配点の学校が多いということを考えても、ある時期に数学や英語の主要科目を見切っても、理科にシフトして少しでも志望校の問題で取れる点を伸ばすという発想が、受験の追い込み期には絶対に必要なのだ。