和田式暗記数学

医学部受験の神様、和田秀樹先生による「医学部合格への道」第36回は、受験界で有名な和田式暗記数学についてです。

和田式暗記数学は使い方を誤っている人も多いとのことで、今回は和田式暗記数学の正しい考え方についてお話いただきました。

第36章．和田式暗記数学とは

さて、和田式受験勉強法を有名にしたのは、何と言っても、「数学は暗記だ」と唱えたからだろう。

ただ、大きな誤解が生じてしまったことも事実だ。

一つは、数学の解答を丸暗記しろという風に思われたことだ。

大学の入試レベルの問題の数学の解答の場合、たいていは１０行を超すくらいの数式を覚えないといけない。丸暗記では対応できないと私自身思っている。

要するに数学の答えを覚えるには、ちゃんと解答が理解できていないと覚えられるはずがない。これを私は理解型暗記と呼んだのだが、機械式の丸暗記と誤解する人が多い。

さらにいうと、解答を丸暗記したところで、少し数字をいじられただけで、模試でも入試でも役に立たないものになる。

私が覚えろと言ったのは、どんな風に公式を応用したり、式を変形したりすればできるのかという解法のほうだ。解答暗記ではなく、解法暗記なのである。

もう一つの大きな誤解は、数学の解法を覚えていくだけで、入試に対応できると思われた点だ。

入試レベルの数学の問題を解く場合、ある程度以上ハイレベルな学校の入試では、これまで問題集や参考書に出ていた問題と同じ（たとえば数字を変えただけの）問題が出ることはまずない。

ただ、これまでにやったことがあるいろいろな問題のやり方を組み合わせたり、ちょっと変形したりすると解けるレベルのある問題が多いことも事実だ。

まったく、見たことのないような奇問、難問は難関校の場合出ないことはないが、せいぜい、一回の入試に２問くらいまでで、できなくても６割は確保できる。

そういう難問を出す学校の合格者の最低点は６割くらいのことが多いから、少なくとも数学でもそれはクリアできる。

要するに、問題演習をたくさんやっていたり、解法を暗記したりしておくと、入試問題や模擬試験で、「見覚えがある」「方針がたつ」「自分でヒントを思いつく」問題が増えてくる。

それが少ない人や公式だけ覚えて後は自分で考えると思っている人は、ノーヒントで難問に当たるようなものなのだ。

ベクトルならベクトルの問題を５０問から１００問、数列なら数列の問題を５０問くらい覚えておくと、入試のときに、「見たことがある問題」という感覚がつかめる。

それが、私の暗記数学の真髄なのである。