本命の医大は特に念入りの対策を

医学部は大学によって受験傾向が異なります。

『医学部合格への道』第17回目は、医学部受験の神様、和田秀樹先生に、この傾向を掴むことの重要性についてお話をしていただきました。

第17章．個別性に注目して、最後の逆転にかける

さて、前回は、高校２年生までの受験生にアドバイスをしてみたが、やはり今年の受験も大詰めにきたということもあるので、再び、この春の受験生向きのアドバイスに戻りたい。

センター試験が高得点の競争であり、非常に標準的な問題が並んでいるのに対して、二次試験というのはとても個別性が高いということは以前に話した通りだろう。

さて、重要なポイントは、その学校特有の問題をつかむということだ。

実は、とくに私立の医学部の場合、よその学校に行かれるより、自分の大学を第一志望にしていると思しき受験生を合格させたいと思っているところが少なくない。

この場合、その大学にしか出ないような問題を対策しているかどうかで試すというようなことを行う。

前にも書いたが東京医大が、入試で医学英語の用語を何の注釈もつけずに出題するなどというのは、その例だろう。

この対策をやっていないと一問まるまる落としてしまうなどということが起こり得る。

相当な高学力の受験生であれば、一問くらい落としても何とかなるのだろうが、ボーダー線上（２０点落としても平気というのならボーダー線上どころか、合格圏にいても危ない）などという場合であれば、その対策を立ててこないというのなら、落ちろと言わんばかりである。

逆に、いくつかの学校の過去問を見渡してみて、この対策はほかの受験生はやっていないだろうなというのを見つければめっけものである。

そういう点では、第一志望ががっちりあっても、あるいは、その私立の学校が滑り止めであったとしても、合格をして気分がいい思いをしたいのなら、受ける以上は、その学校の過去問はきちんとチェックして、まだ対策を立てていない部分があれば、きちんとフォローするようにしたい。

そのちょっとした差が合否につながるし、今のご時世、どうしても国立大学に入るより、入れる大学に入って、一年でも早く医者になったほうが得なご時世だ（臨床研修制度の必修化でどこの大学を出ていても、好きな病院で研修できるようになったのは大きい）。

そういう点で、第二志望や第三志望の学校でも、しっかり過去問をみて、それなりに点につながる対策をしておくことが無駄な浪人の防止になることは知っておいて損はない。