ケアレスミスが起こる理由

ケアレスミスを防げれば合格率は当然ですが高くなります。今回の第12回目は、医学部受験の神様、和田秀樹先生になぜケアレスミスは起こるのかについてお話いただきました。

第12章．意外に難しいケアレスミス対策

本番対策として、意外な落とし穴がケアレスミス対策だろう。

実際、医学部受験の場合（これは医学部に限らないが）、学力が上がれば、より偏差値の高い大学を受験し、下がれば志望校を落とすというパターンが多いので、学力が似たような層が激しく競争する形での受験となりがちだ。

つまり、まさしく一点を争う競争になってしまうのだ。

すると、当日ミスをしなかった人は合格できるし、ミスをした人が不合格の憂き目にあうと言ってよい。ある試算によると、ケアレスミスをしなくなれば偏差値ベースで１０以上あがるとのことだ。

もちろん、ケアレスミスをするな、もったいないなどということは耳にタコができるほど聞かされているだろうが、実際には具体的な対策としては、落ち着いてしっかり問題文を読めとか、何回もしっかり見直せとか、気をつけろというレベルのものになってしまう。

しかし、緊張感が高い受験の場では、誰もが気をつけているだろうし、誰もがしっかり問題を読むようにしているはずだ。

しかし、それでも平常心を失っていたり、あるいは出題者がミスを誘うような出題をするのにひっかかってミスをしてしまう。

また、何度も見直せというが、現在の医学部受験は、たとえば英語なら長文が５問もでることがざらにあるし、数学や理科でも、処理速度を競う問題が多い。

要するに時間が足りないというのが当たり前のようになっている。

これで見直しの時間を取れというのが無理な話だ。

また、受験のときの見直しというのは、本人が合っていると思っている解答から間違えをみつけることなので、「見直し」ただけでは、どこが間違っているのか見つからないことが多い。

時間に余裕があれば、「解き直し」をすれば間違いが見つかる可能性があるが、そこまでの時間を割くのがなかなか困難だ。

通常のミス対策ではミスがそうなくならないということは自覚しておいたほうがいい。

次回、第13回では、ではどうしたらいいのかを提言してみたい。