基礎学力は伸ばすことの重要性

「絶対的な基礎学力がなければ医学部に通るはずがない」「できないのは素質や知頭ではなく基礎学力が原因」と、医学部受験の神様、和田秀樹先生は言います。

第6回目となる今回は基礎学力の重要性について和田先生にお話してもらいました。

第6章．医学部受験のための絶対基礎学力とは

前回、医学部受験のための共通学力の話をした。

高校２年生の終わりまでは、英数に特化して力をつけていき、最後の学年で志望校に特化した学力をつければいいということなのだが、現実にはそう簡単にいかないようだ。

新興の進学校の中には、灘や開成のカリキュラムにならい、ほとんど同じようなペースで進んでいる学校や、馬の糞のような宿題を出して、それで学力をつけていこうと目指す学校は少なくないのだが、現実には、それで医学部の進学実績を大きく伸ばしている学校はほんの一握りである。

英語や数学が勉強をしている割にできないというのは、素質とか地頭とかいう言葉で説明され、それに納得する人は多い。しかし、私は、この意見に与しない。

できないのは、うまれつきの地頭や素質のなさのためでなく、絶対的な基礎学力がないから、勉強をしていても伸びないというのが私の結論だ。

たとえば、小学校レベルの計算力が十分でないと、計算が遅くてなかなか問題集が進んでいかないし、不正確な計算をしていると途中で答えがおかしくなってしまい、理解が困難になってしまう。

中学レベルの文字式などの計算力がないと、かなり解答が詳しい問題集をやっていても、上の式がなぜ下の式に展開されるのかがわからないということが生じてしまう。

解答が理解できないと、解法を覚えることはできない。１０行もある計算式は丸暗記は困難だ。解放暗記は解法が理解できることが前提となるのだ。

英語にしても、中学レベルの文法がきちんと理解できていないと、かなりわかりやすい高校レベルの参考書でも理解は困難だろう。

この手の基礎学力の欠如は、偏差値のあまり高くない新興進学校や、ゆとり教育をある時期まで受けてきた公立学校の生徒、あるいは、せっかく名門進学校に入ったのに、中学一年生や二年生のときに遊んでしまって、基礎がすっぽり落ちているなどという理由で簡単に起こってしまう。

基礎学力がなければ、いい参考書や問題集で勉強しても、思ったほど学力が伸びず、結局、自分はダメということになってしまう。

現時点で成績のいい生徒を除けば、まず基礎学力をつけてから受験勉強を始めるというのが、実は遠回りのように見えて王道なのである。