エースメディカルみなとみらいの峰岸先生が英語の医学部入試を徹底解説。
今回から「医学部入試の攻略」というテーマで医学部入試の対策講座を開設します。
入試問題の解説の他、受験に関する様々なテーマで入試に切り込んでいきます。
入試問題についても英語のみならず各科目はもとより、小論文、面接といったものも幅広く扱う予定です。
第6回.医学部入試問題・英語「要約編」①
このタームでは英語問題の解説と攻略をしていきます。今回のテーマは「記憶」です。東京大学からの出題です。要約問題の攻略もしていきます。今回は全3パラグラフのうち最初のパラグラフを扱います。
*解説の都合上パラグラフ記号(¶)や行番号を入れています
問 次の英文を読み,全文を80~100字の日本語に要約せよ。ただし,句読点も字数に数える。
¶1 ①Eight, five, seven, three, one, two.
②If I asked you now to repeat these numbers, no doubt most of you could.
③If I asked you again after a long talk, you probably couldn’t - you will keep the memory for a short time only.
¶2①It seems to be the case that two quite different processes are involved in the brain in memory storage, one for the short-term- that is about fifteen minutes to an hour - and the one for long-term memory.
②Many items of information find their way briefly into our short-term stores; most are discarded, and only a few find their way into the long-term store.
第1パラグラフ
①この文は数字の羅列からはじまりますね。これには仕掛けがありますね。すぐあとの従属節(if節)のなかにthese numbersにきがつきましたか?この数字が今出てきた数字のことですね。
ここまでの訳は「8,5,7,3,1,2。もう一度この数字を今、繰り返してと言われたら」となります。この文の主節はno doubt most of you couldですね。no doubtは文修飾で「疑いなく」です。
他には「きっと、たぶん、おそらく」という意味です。ここの訳は「きっと大半の人が言えるだろう」ですね。
②また If節ですね。訳は「長い間話をした後でもう一度といわれたら」ですね。次の主節の部分は-(ダッシュ)に気を付けて訳してくださいね。
まずyou probably couldn’t ですが、ここはいいですね。「多分できないだろう」という訳です。この部分とyou will keep the memory for a short time onlyが-(ダッシュ)でつながれています。
ここの部分の訳は「こういう記憶は短期間しか維持できないからである」ですね。この文と前の部分をつなぐ働きが-(ダッシュ)です。
これはなかなか辞書で確認しにくいのですが①というのは②つまり③というのは④そして⑤訳さない、のいずれかで処理できますよ。ここでは①の「というのは」でつなぐとうまくいきますね。
ここを通した訳は「長い間話をした後でもう一度、と言われたら多分できないだろう。というのは、こういう記憶は短期間しか維持できないからである」ですね。
第2パラグラフ
①まずthe caseは「事情、実情、事実、真相」の意味です。その使い方は①It is the case that~で「~が事実である、~と言える」
②That is the case.で「それは本当だ」
③It is always the case with him.で「彼はいつでもそうだ」
④That being the case, he went away.で「そういう事情で彼は出て行った」のように使います。この①のisの部分が弱まってseemが使われ「~のように見える」となっていますね。
two quite different processes are involved in the brain in memory storageの部分ですが、まずinvolveは「含まれる」以外にbe involved in [with] Aで「Aと(密接な)関係がある」と覚えましょう。
Your troubles are mostly involved with your attitudes.(あなたの問題は,あなた自身の態度と密接に絡んでいる)のように使います。
memory storageは記憶の蓄積ですね。ここまでを通すと「記憶の蓄積については,脳の中で2つのかなり異なるプロセスが働いているというのが事実のようである」ですね。
続いて出てくる-(ダッシュ)ですがこの文では2か所で登場しますね。こういう場合は先ほどとは違って,(カンマ)と同じ扱いです。カッコに入れてしまいましょう。補足説明を表します。
one for the short-termの部分は先ほど述べた「2つ」に対応しています。
「一つには」ということですね。あと一つを指す時は残りが一つですから、必ずtheがついてthe oneとなります。
最初のものへの補足情報がthat is about fifteen minutes to an hourの部分です。
「15分から1時間程度ですが」の意味ですね。ここまでを通すと「すなわち,15分から1時間程度の短期記憶をつかさどる働きと、長期記憶をつかさどる働きである」ですね。
②ここでは;(セミコロン)の処理を覚えてください。実は先ほど出てきた-(ダッシュ)と同じ訳が基本です。ただ;(セミコロン)は逆説も導けます。
つまり「しかし」の訳を先ほどの-(ダッシュ)の訳に追加して覚えてください。では;(セミコロン)の左側の解説です。主語はMany items of information です。
動詞はfind their way です。itemは「項目」です。find one’s wayですが①「骨折って進む、(…に)やっとたどり着く」です。
通常、前置詞toを伴います。使い方はfinally find one’s way home「ついになんとか家にたどり着く」です。
②「〈河川などが〉流れて行く、〈物が〉運ばれる,伝わる、届く、(ある状態に)達する 」です。
通常、前置詞intoを伴います。Slang words often find their way into accepted English. (俗語はしばしば標準英語の仲間入りをする)のように使います。
ここまでの通した訳は「さまざまな情報項目がまず一時的に短期記憶に入る」ですね。
そして;(セミコロン)の右側ですがdiscardは「切り捨てる」です。前の文の動詞「入ってくる」とこの文の「切り捨てる」をつなぐ役割を;(セミコロン)がしているのですから、訳は逆説の「しかし」でいいですね。
ここまでを通した訳は「しかし,ほとんどはそこで捨てられてしまい、ほんのわずかな情報だけが長期記憶に入っていく」ですね。
さあ、「短期記憶」と「長期記憶」という言葉が出てきました。みなさんにはおなじみの言葉ですか?その働きは次回出てきますよ。お楽しみに。
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エースメディカルみなとみらいでは、生徒各個人に合わせて英文のレベルを分け、中学生レベルの英文から科学雑誌の英文までを準備しています。
医学部に受かる力の養成に直結した授業を展開しています。無料レッスン随時受付中です。お問い合わせください。
第7回.医学部入試問題・英語「要約編」②
このタームでは英語問題の解説と攻略をしていきます。今回のテーマは「記憶」です。
東京大学からの出題です。今回は前回に引き続き第2パラグラフの途中から扱います。
*解説の都合上パラグラフ記号(¶)や行番号を入れています
¶2 ③While memories are in this short-term store, they are easily destroyed: by distraction, for instance - do you remember the number sequence we started with? - or by interference with the brain: by an epileptic fit, or concussion, for example.
④The film hero who wakes up after having been knocked out in a fight and asks “Where am I?” isn’t joking; if the blow that knocked him out had been real it would have affected the electrical processes in his brain and so destroyed his store of short-term memories.
⑤But he will not have lost his store of permanent, long-term memories- indeed, it is extraordinarily difficult to erase them.
第2パラグラフ
③まず :(コロン)の前までを考えましょう。文頭のWhileは「譲歩」で訳すとうまくいくことが多いです。
in this short-term storeのthisは前の部分で「短期記憶」について述べたわけですから「この」という意味で使っています。they are easily destroyedのtheyが指すものは何ですか?
名詞の複数形を受けているのでここより前に戻って探すと、memoriesであることがわかりますね。
ここまでの訳は「記憶はこの短期記憶に蓄えられるのだが、その記憶は簡単に壊れやすい」ですね。
では、コロンの後ろを分析しましょう。この文の最後の方までずっと見ていくともう1回コロンがでてきますね。そしてbyは3回出てきます。
そして、-(ダッシュ)が2回出てきます。ダッシュの処理はダッシュに囲まれる部分をカッコに入れていましましょう。そうするとこの文はWhile SV, SV: by A, for instance -X?- or by B: by C, or D, for example.となります。
大きく2文に分けられますか?ポイントは「例示」の部分ですね。
for instanceとfor exampleという形で2回出てきますからこれをもとにして切ってみます。すると最初の「例示」は“?”の部分までですね。orから後ろでもう一つのかたまりになりますね。
コロンの部分から右側はその部分の左側部分を言い換えたり補足したりしますからここでは「短期記憶が壊れやすい」の部分を2つのかたまりで補足しているのです。
では?の部分までを訳しましょう。distractionは「気を散らすもの、混乱」の意味ですからby distractionは「気を散らされることによって」ですね。
そしてダッシュの部分はsequenceは「数字の連続」の意味ですから「あなたは私が最初に言った連続した数字を覚えていますか?」という意味ですね。
冒頭に述べた数字のことは、その後の文で一度も述べられず、短期記憶のことが話されていることで、最初の数字から「気をそらされ」たのです。
ですから、「短期記憶がこわれた」実例としてあげているのです。では後半のかたまりを見ましょう。orの右側のB、C、DのところはBがinterference with the brainです。
ここでのwithは「~に関して、対して」の訳ですね。直訳は「脳への妨害」です。Cがan epileptic fit「てんかんの発作」でDはconcussion「脳震とう」ですね。Bの部分を具体的にCとDが説明していますね。
「脳に対する障害、つまりてんかんの発作や脳震とう」ですね。ここまでを通すと「記憶はこの短期記憶に蓄えられるが、それは簡単に壊れてします。
例えば気をそらすこと、あなたは最初に挙げた連続した数字を覚えているだろうか。また、脳に対する障害、つまり、例えばてんかんによる発作や脳震盪によっても簡単に壊れてしまう」ですね。
④この文も長いですね。まず、;(セミコロン)の左側の部分までをみましょう。SVが取れたでしょうか?SはThe film heroで「映画の主人公」です。ここにafter having been knocked out in a fight and asks “Where am I?”までがかかります。ここは「喧嘩でノックアウトされた後で“ぼくはどこにいるんだろう?”と尋ねる」ですね。Vはisn’t jokingです。
訳は「冗談を言っているのではない」ですね。セミコロンの右側です。if以下はreal までをまとめた副詞節になりますね。the blow は「一撃」です。ここでは「主人公が殴られた一発」ということですね。that knocked him out は「彼をノックアウトした」ですね。動詞はhad beenです。ここでは仮定法ですね。
「もし~だったならば」という訳になります。主節を見ましょう。Sがit「その一発」ですね。動詞が would have affected and so destroyed ですね。「影響していただろう。そして壊したのだろう」ですね。the electrical processesは「電気的な過程」です。
ここまでを通すと「映画の喧嘩の場面で主人公が殴り倒されたあとで起き上がり“ぼくはどこにいるんだろう?”というのは冗談ではないないのです。
つまり彼を殴り倒した一発が本物だとしたら彼の脳の中の電気的な過程が影響を受け短期記憶の蓄積を破壊してしまったのです」
⑤ここでは、「しかし」始まりますから短期記憶に対する「長期記憶」の話だろうと推測できますね。
store of permanent, long-term memoriesの部分はカンマで左側と右側が同じことを言っていますね。permanentは「永久的な、長続きする」ですから「半永久的な蓄積、つまり長期記憶」となりますね。
ダッシュのあとのit is extraordinarily difficult to erase themは仮主語、真主語構文ですね。eraseは「消去する」です。themは「長期記憶」のことですね。
ここまでを通すと「しかし、彼は半永久的な蓄積である長期記憶はなくしていません。つまり、実際それらを消去するのは非常に難しいのです」となります。
「短期記憶」と「長期記憶」の機能の違いがでてきましたね。
そして長期記憶は消すのは困難であるとのことです。どういった記憶がそうしたものなのでしょう?
どのように消す方法があるのでしょう?
次回出てきます。お楽しみに。
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第8回.医学部入試問題・英語「要約編」③
このタームでは英語問題の解説と攻略をしていきます。
今回のテーマは「記憶」です。東京大学からの出題です。
今回は前回に引き続き第2パラグラフの途中から最後までを扱います。
*解説の都合上パラグラフ記号(¶)や行番号を入れています
問 次の英文を読み,全文を80~100字の日本語に要約せよ。ただし,句読点も字数に数える。
(前段落省略)
¶2 ⑥Quite often in psychiatric treatment the psychologist tries to remove them by drugs, with electrical shock treatment, with insulin therapy, or psychoanalytic techniques, but usually with a very limited amount of success.
¶3 ①Indeed, when one comes to think about it, memory is perhaps one’s most durable characteristic as an individual.
②I can lose limbs, have real organs replaced by plastic ones, alter my facial appearance with plastic surgery, but I am still “myself”- a complex of past experience, past memories, held tight and firm within my brain; only when I lose these do I cease to be myself.
第2パラグラフ
⑥文頭にあるQuite often は「とても頻繁に、ほとんどいつでも」という意味です。in psychiatric treatmentは「精神医学の治療において」ですね。
the psychologist tries to~は「心理学者は~しようと試みている」ですね。 remove them のthemは前の文のpermanent, long-term memories 「長期記憶」を表しますね。次の部分は除去の仕方が羅列されますね。
by drugsは「薬物療法で」ですね。 with electrical shock treatmentは「電気ショック療法」によって, with insulin therapyは「インシュリン療法を用いて」 psychoanalytic techniquesは「心理的分析な技術を使って」ですね。
but以下の部分ですが、ここではwithに注目しましょう。
withの処理は ①理由「~であるので」②条件「~があれば」③付帯状況、と説明してきましたがここでは④結果「その結果~」も覚えておきましょう。
たとえばVancomycin was continued for seven more days with resolution of infection and the patient experienced no additional adverse effect.(バンコマイシンがさらに七日間継続投与された。
その結果、感染は解決し患者は付加的な副作用はなかった)のように訳すとうまくいきます。very limited amount of successの部分は直訳は「非常に限られた量の成功」ですから「ほとんど成功例はない」でいいでしょう。
ここまでを通した訳は「精神医学の治療で,心理学者は薬物療法,電気ショック療法,インシュリン療法,精神分析の手法など,あの手この手で長期記憶を消そうと絶えず試みているのが,その結果、成功した例はごくわずかしかない」となりますね。
第3パラグラフ
① Indeedは文頭で「実際は」ですね。when one comes to think about itの部分はoneは人を指します。
これ全体は熟語で「考えてみると」という意味です。(When I) come to think of it, I’ve seen him before.(考えてみると以前に彼を見かけたことがあるよ)やCome to think of it, I didn’t have breakfast this morning.(そう言えば,今朝は朝食を食べなかった)のように使います。次のmemory is perhaps one’s most durable characteristic as an individualの部分はSがmemoryでVがisでCがone’s most durable characteristicですね。durableは「耐久性のある」です。
characteristicは「特徴」ですね。ここまでを通すと「実際,考えてみると,記憶というものは,恐らく人間ひとりひとりの一番変わりにくい特性なのかも知れない」となりますね。
②この文のSは Iですね。Vは can lose とhaveとalterですね。このように動詞が羅列しているときはその動詞の流れをダイナミックにつかんでください。haveは使役動詞ですね。have real organs replaced by~でreal organs「本物の臓器」を~にreplace「交換して」もらう、という意味になりますね。alterは「変える」ですね。
limbsは「(頭部・胴体と区別して)肢、手、腕、足」を意味します。plasticは「(外科)形成の(欠損・奇形・傷害部分の修復や治療に関して使う)」ですね。
例としてa plastic operation(形成手術)やa plastic beauty surgeon(美容形成外科医)のように使います。
plastic onesのonesの部分は前に出てきた名詞の複数形ですからorgansですね。my facial appearanceは「外見の顔、見た目」ですね。
ここまでの訳は「人は手足を失ったり、臓器を人工のものにかえてもらったり、容貌を形成外科手術で変えることはできるが」ですね。
but以下は ダッシュ(-)の左側で主張が出てきています。ダッシュの右側ではそれの説明がされていますね。
I am still “myself”は「それてもまだ私は私自身である」ということですね。- a complex of past experience, past memories の部分はa complex of~は「~の複合体」ですね。~の部分は「過去の経験つまり過去の記憶」ですね。
held tight and firm within my brainの部分はheldは過去分詞ですから名詞にかかります。ここではcomplexにかけるといいですね。
tight and firmは「ほんとうにしっかりと、がっちり」という意味です。ここまでの訳は「それでも私は”私“なのである」ですね。
最後のセミコロン(;)の部分はここで述べてきたことのまとめですね。only when~は「~の時だけ」ですね。onlyは「準否定語」でこの単語が文頭にあるので主節で倒置が起きていますね。
ここでI lose these のtheseは何を指しますか?先ほどのようにorgansだとすると「臓器をなくしたときはじめて~」という訳になりますね。意味が通じません。ここではmemoriesを指しますね。
cease to~は「~であることをやめる、中断する」ですからdo I cease to be myselfは「この記憶がなくなったとき初めて、私が私でなくなる」ですね。ここまでを通すと「手足を失ったり、臓器を人工のものにかえてもらったり、容貌を形成外科手術で変えることはあっても、それでも私は”私“なのである。私とは,脳にしっかりと焼き付いた過去の経験と記憶の複合体なのである。
この記憶がなくなったとき初めて私が私でなくなる」ですね。
ここで設問を考えましょう。著者が言いたかったことは ①記憶には2種類あること。②その機能が違うこと③個人としての成り立ちは長期記憶によっていること、の3点でしたね。これらが述べられていればよいと思います。解答例をあげておきます。
記憶には短期的なものと長期的なものの2種類がある。前者は簡単に破壊されてしまい、消え去ってしまうが,後者は消しにくく永続する。人間がその人自身でいられるのは後者の記憶の働きがあってこそである。(96字)
次回からまた新しいトピックを扱います。お楽しみに。
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峰岸 敏之
河合塾や城南予備校、栄光ゼミナールなどの大手予備校や医学部予備校などで、大学受験ブロック長や英語科責任者などを務める。指導教科は英語と小論文。
2013年春に横浜に医学部予備校を開校し、「30年以上続く予備校を作り、医学部への合格者を1000人を出す」が目標。
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