医学部入試問題
医学部入試問題-英語「長文読解-日本医科大学(2011年)」

医学部入試問題-英語「長文読解-日本医科大学(2011年)」

峰岸先生が徹底解説!『医学部入試問題を斬る』

峰岸先生が2011年度に実施された日本医科大学医学部の英語入試の過去問を分かりやすく読み解く。

今回から「医学部入試の攻略」というテーマで医学部入試の対策講座を開設します。

入試問題の解説の他、受験に関する様々なテーマで入試に切り込んでいきます。入試問題についても英語のみならず各科目はもとより、小論文、面接といったものも幅広く扱う予定です。

Contents

第238回.医学部入試問題-英語「長文読解-日本医科大学(2011年)」1

今回から日本医科大学の入試問題(2011年)を解いています。

今日は第1パラグラフから読み進めていきましょう。解説の都合上本文やパラグラフに番号を入れています。

次の英文を読んで以下の問に答えなさい。

(1)①There are two ways in which our emotions influence our sense of morality.

②The first is to do with the fact that our emotions are difficult to control and, therefore, difficult to fake.

③And because they are difficult to fake, they give credibility to people who appear to commit immoral acts under their influence.

④We tend to think that if people are honestly overcome by anger or love or panic, it is impossible for them to alter their course of action, and we regularly forgive them simply because we believe a powerful emotion prevented them from making the right moral choice.

⑤As we all know, this belief in the uncontrollable power of emotions can even help people who break the law escape the legal consequences of their actions.

第1パラグラフ

第1文

There are two ways in which our emotions influence our sense of morality.

この文はThere is構文(~がいる・ある)ですから、主語はtwo ways (2つの方法)です。ここに関係詞以下の部分がかかっていきます。

our emotions influence は「私たちの感情が影響する」です。「何に影響するのか」はour sense of morality(私たちの道徳の意識に)です。

訳:
私たちの感情が道徳の意識に影響を及ぼす道は2通りあります。

第2文

The first is to do with the fact that our emotions are difficult to control and, therefore, difficult to fake.

この文の主語はThe first(初めのもの)で、これは先のtwo ways(2つの方法)のうちの一つです。is to do with ~は「~と関係がある」です。

「何と関係があるのか」はthe fact(事実)とです。「どんな事実か」はthat以下にあります。

この部分の主語はour emotions (私たちの感情)で述語はare difficult(難しい)です。「何が難しいのか」は to control(抑えること)です。

and, therefore, は「そしてよって」と訳します。difficult to fakeは「偽るのは難しい」です。

訳:
一つ目の方法は私たちの感情は抑えるのが難しく、よって偽ることが難しいという事実と関係があります。

第3文

And because they are difficult to fake, they give credibility to people who appear to commit immoral acts under their influence.

この文は頭から読んでいけますね。And because they are difficult to fakeは「そして、それらは偽ることが難しいという理由で」です。

ここでのtheyは前文のour emotions (私たちの感情)です。

次のtheyは「一般的な人」をさします。give credibility to people は「人に信用を与える」です。

「どんな人にあたえるのか」はwho appear to commit immoral acts(道徳に反するような行為をしそうな人)です。

under their influenceは「それらの影響下で」です。theirは感情のことですから「感情が影響を受けている下では」です。

「感情が影響を受けている下」とは「感情が普通でなく精神的にまいっている状態」のことです。

訳:
そして、感情は偽るのが難しいので、私たちは、精神的にまいっていているときに道徳的でない行為をしてしまいそうな人のことも信用することができるのです。

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いかがでしょう?

今回は論理的にしっかり読めないと意味がさっぱり分からなくなる恐れのある英文を読んでいきましょう。

ロジックを追いかけて、一文一分を明確にしていけば必ず理解できます。

高度な英文ですが頑張って読み進めていきましょう。次回もお楽しみに。

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エースメディカルみなとみらいでは、生徒各個人に合わせて英文のレベルを分け、中学生レベルの英文から科学雑誌の英文までを準備しています。

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2021年3月19日

第239回.医学部入試問題-英語「長文読解-日本医科大学(2011年)」2

今日は第1パラグラフから読み進めていきましょう。解説の都合上本文やパラグラフに番号を入れています。

次の英文を読んで以下の問に答えなさい。

(1)①There are two ways in which our emotions influence our sense of morality.

②The first is to do with the fact that our emotions are difficult to control and, therefore, difficult to fake.

③And because they are difficult to fake, they give credibility to people who appear to commit immoral acts under their influence.

④We tend to think that if people are honestly overcome by anger or love or panic, it is impossible for them to alter their course of action, and we regularly forgive them simply because we believe a powerful emotion prevented them from making the right moral choice.

⑤As we all know, this belief in the uncontrollable power of emotions can even help people who break the law escape the legal consequences of their actions.

第1パラグラフ

第4文

We tend to think that if people are honestly overcome by anger or love or panic, it is impossible for them to alter their course of action, and we regularly forgive them simply because we believe a powerful emotion prevented them from making the right moral choice.

この文は長いので2か所で切りましょう。前半はWe tend to think that if people are honestly overcome by anger or love or panic, it is impossible for them to alter their course of action,までです。これでも長いので, itの前で切りましょう。

この部分の主語はWeで述語は tend to think(考える傾向にある)です。「何をどう考えるのか」はthat以下です。

if people are honestly overcomeは「もし人が心から征服される」です。 by anger or love or panicは「怒りや愛情や衝動によって」です。

it is impossible for them to alter their course of actionの部分は、文頭のitは仮主語で真主語はto alter their course of action(自分の行動を変えること)です。

ここまでの訳は「私たちが一般的に考えることは、もし私たちが怒り、愛、衝撃といったものに心から支配されていると自分の行動を変えていくことは不可能であるということです」となります。

後半を見ましょう。 ここの主語はweで述語はregularly forgive(絶えず許します)です。「誰を許すのか」は them(彼らを)です。

ここでのthemは先の文の「怒り、愛、衝撃に感情が支配されている人」のことです。 simply because~は「単に~という理由で」という意味です。

we believe ~は「私たちは~と思っている」です。次のa powerful emotion(強力な感情)が主語で述語は prevented(妨げる)です。

ここで、prevent A from ~ingは「Aが~するのを妨げる」ですから、この文では them from making the right moral choiceで「彼らが正しい道徳的な選択をすることを妨げる」となります。

ここまでの訳は「私たちは強力な感情は正しい道徳的な選択をすることを妨げると思っているので彼らを絶えず許すのである」です。

訳:
私たちが一般的に考えることは、もし私たちが怒りや愛や衝撃といったものに心から支配されてしまっていると、自分の行動を変えていくことは不可能であるということです。

そそて、強力な感情というものは私たちが正しい道徳的な選択をすることを妨げてしまうと知っているので、そうした人を絶えず許すのです。

第5文

As we all know, this belief in the uncontrollable power of emotions can even help people who break the law escape the legal consequences of their actions.

文頭のAs we all knowが「私たちがみな知っているように」です。次のthis belief(この考え方)が主語です。

in the uncontrollable power of emotionsは「感情を抑えられないような力の下で」です。

述語は can even help people(人を手助けします)です。「どんな人を手助けするのか」は who break the law「法を犯した人」です。

「どのように手助けするのか」は escape(免れる)手助けです。「何を免れるのか」はthe legal consequences of their actions(彼らの行動の法的な結果)です。

訳:
私たちがみな知っているように、感情の抑えが効かないような状況にあるときに、私たちがこのような考え方をとることで、ある人が法を犯した場合でも、その人の行動の法的な結果から逃れる手助けをすることさえできるのです。

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いかがでしょう?

感情に大きな揺さぶりがあると人は道徳的に正しい判断をすることができなくなる、ということを前提に置いています。

どのようにロジックが展開されるのでしょうか。次回もお楽しみに。

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2021年3月29日

第240回.医学部入試問題-英語「長文読解-日本医科大学(2011年)」3

今日は第1パラグラフから読み進めていきましょう。解説の都合上本文やパラグラフに番号を入れています。

次の英文を読んで以下の問に答えなさい。

(2)①The second way in which emotions affect our sense of morality concerns the fact that morality itself is deeply rooted in emotional responses.

②(1)We may think that moral judgment means making choices based on more independent principles than merely how we feel, and we talk as if principles of right and wrong are, or at least should be, free of the influence of uncontrollable passions.

③But this is misleading rhetoric.

④Disgust, anger, love, panic,【 1 】 ,【 2 】, and so on all shape our ability to make moral choices to a greater extent than we usually admit.

⑤One good example of the link between emotion and morality is the famous “runaway train dilemma:” a runaway train carriage is speeding down the tracks on its way to smash into five railway workers who cannot see the danger and will certainly be killed; you happen to be standing by a lever that will move the carriage onto another track; however, there is another worker on that track who will be killed if you do so.

⑥The question is whether you should pull the lever and save five lives 【 ア 】 one.

⑦After answering that question, consider another version of the dilemma: you are on a bridge watching the runaway carriage, and the only way you can stop it is to push a large man who happens to be leaning over the side into its path. Again, should you do it?

問1 下線部(1)を日本語に訳しなさい。

第2パラグラフ

第1文

The second way in which emotions affect our sense of morality concerns the fact that morality itself is deeply rooted in emotional responses.

この文の主語はThe second way(2番目の方法)です。「どのような方法か」はin which emotions affect our sense of morality(感情が私たちの道徳の感覚に影響しているなかにおける)です。

次のconcerns(関係している)がこの文の述語です。「何に関係しているのか」は the fact(事実に)です。「どのような事実か」は that以下にあります。

この部分での主語はmorality itself (道徳それ自体)で、述語はis deeply rooted(深く根ざしている)です。

「どこに根ざしているのか」はin emotional responses(感情の反応のなかにおいて)です。

訳:
感情が私たちの道徳的な判断に影響を及ぼしているような2番目のケースは、道徳というもの自体が深く感情に根ざしているという事実です。

第2文

We may think that moral judgment means making choices based on more independent principles than merely how we feel, and we talk as if principles of right and wrong are, or at least should be, free of the influence of uncontrollable passions.

この文も長いので2つに分けましょう。前半は, andの前までで、We may think that moral judgment means making choices based on more independent principles than merely how we feelの部分です。

この部分の文の主語はWe(私たち)で、述語は may think (思うかもしれません)です。

「何を思うのか」はthat以降にあります。ここの部分の主語はmoral judgment(道徳的な判断)で述語はmeans(意味します)です。

「何を意味するのか」はmaking choices(選択をすること)がbased on(基づいている)ということです。

「何に基づいているのか」はmore independent principles(より独立した原理原則)にです。 than merely how we feelは「単に私たちが感じることよりも」です。

後半を見ましょう。we talk as if principles of right and wrong are, or at least should be, free of the influence of uncontrollable passions.の部分です。

この文の主語はwe(私たち)で述語は talk(話をする)です。 as if~は「まるで~であるかのように」です。

principles of right and wrong は「正しいとか間違っているとかの原理」です。are, or at least should be, は「~であるか、もしくは少なくとも~であるべきです」です。

free of the influence は「~の影響がない」です。of uncontrollable passionsは「コントロールできない感情」です。

訳:
道徳的な判断とは、選択をするときに、単に私たちが感じることよりも、もっと独立した原理原則というものに基づいているのであるということを意味することだと思うかもしれません。そして私たちはまるで、正しいとか間違っているとかの原理は、コントロールできない感情の影響をまったく受けていないか、少なくとも受けるべきではないかのように話をしています。

ここで問1を解きましょう。

下線部(1)を日本語に訳しなさい。

これは、先ほど訳した前半部分でよいですね。

正解:
道徳的な判断とは、選択をするときに、単に私たちが感じることよりも、もっと独立した原理原則というものに基づいているのであるということを意味するものだと私たちは思うかもしれません。

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いかがでしょう?道徳的な判断は合理的なものであるから感情の側面とは対極であるとの意見に対しての筆者の考え方は一貫してそうではないというものですね。次回もお楽しみに。

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2021年4月22日

第241回.医学部入試問題-英語「長文読解-日本医科大学(2011年)」4

今日は第2パラグラフ第3文から読み進めていきましょう。解説の都合上本文やパラグラフに番号を入れています。

次の英文を読んで以下の問に答えなさい。

(2)①The second way in which emotions affect our sense of morality concerns the fact that morality itself is deeply rooted in emotional responses.

②(1)We may think that moral judgment means making choices based on more independent principles than merely how we feel, and we talk as if principles of right and wrong are, or at least should be, free of the influence of uncontrollable passions.

③But this is misleading rhetoric.

④Disgust, anger, love, panic,【 1 】 ,【 2 】, and so on all shape our ability to make moral choices to a greater extent than we usually admit.

⑤One good example of the link between emotion and morality is the famous “runaway train dilemma:” a runaway train carriage is speeding down the tracks on its way to smash into five railway workers who cannot see the danger and will certainly be killed; you happen to be standing by a lever that will move the carriage onto another track; however, there is another worker on that track who will be killed if you do so.

⑥The question is whether you should pull the lever and save five lives 【 ア 】 one.

⑦After answering that question, consider another version of the dilemma: you are on a bridge watching the runaway carriage, and the only way you can stop it is to push a large man who happens to be leaning over the side into its path. Again, should you do it?

問3 【 1 】と【 2 】に入れるのに適当な英語の単語1語をそれぞれ書きなさい。

第2パラグラフ

第3文

But this is misleading rhetoric.

この文の主語はthis(このこと)です。

内容は前文のことを指しますからWe may think that moral judgment means making choices based on more independent principles than merely how we feel, (道徳的な判断とは、選択をするときに、単に私たちが感じることよりも、もっと独立した原理原則というものに基づいているのであるということを意味することだと思うかもしれません)ということです。

述語はis misleading rhetoric(誤解しやすいレトリック)です。

訳:
しかしこうした考え方は誤解をまねく考え方なのです。

第4文

Disgust, anger, love, panic,【 1 】 ,【 2 】, and so on all shape our ability to make moral choices to a greater extent than we usually admit.

問3( 1 と 2 に入れるのに適当な英語の単語1語をそれぞれ書きなさい)を解きながらこの文を攻略しましょう。この文のカッコのないところをまず訳しましょう。

Disgust, anger, love, panic, は「嫌悪感、怒り、愛情、動揺」です。and so on は「などなど」です。

allは「すべて」で shapeは「形作る」です。our abilityは「私たちの能力」です。to make moral choicesは「道徳的な選択をする」です。

to a greater extentは「大いに」です。than we usually admitは「私たちが通常認めている以上に」です。

こうしてみると、動詞はshape(形作る)ですから、この前までが主語になる、とあたりをつけます。

すると 1 , 2 ,に入る言葉は、and so on(などなど)やall(これらすべて)といった言葉から、文頭のDisgust, anger, love, panic,(嫌悪感、怒り、愛情、衝動)の同類語であることがわかります。

そうしたものが「道徳的な選択をする能力を私たちが通常認めている以上大きく形作る」のですから「道徳的な選択をすることに関与する強い感情や状況」考えればよいですね。

文中から抜き出すのではなく自分で考えればいいので、「喜怒哀楽」を表す言葉や「恐怖」「憎しみ」「絶望」などのことばがよいですね。

例えばdelight, joy, grief, sorrow,fear,hatred,despairなどですね。

問③ 正解 delight, joy, grief, sorrow,fear,hatred,despair などから2つ

訳:
嫌悪感、怒り、愛情、動揺、喜び、悲しみといったものはすべて、私たちが通常認めるよりも大きく道徳的選択の能力を形作ります。

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いかがでしょう?道徳的な判断はすべて合理的な推論と結果に基づくものではなく、根底にはやはり、喜怒哀楽といった感情の側面があるという論拠の繰り返しですね。

次回はどのようにロジックが広がるでしょう。お楽しみに。

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2021年5月14日

第242回.医学部入試問題-英語「長文読解-日本医科大学(2011年)」5

今日は第2パラグラフ第5文から読み進めていきましょう。解説の都合上本文やパラグラフに番号を入れています。

次の英文を読んで以下の問に答えなさい。

(2)①The second way in which emotions affect our sense of morality concerns the fact that morality itself is deeply rooted in emotional responses.

②(1)We may think that moral judgment means making choices based on more independent principles than merely how we feel, and we talk as if principles of right and wrong are, or at least should be, free of the influence of uncontrollable passions.

③But this is misleading rhetoric.

④Disgust, anger, love, panic,【 1 】 ,【 2 】, and so on all shape our ability to make moral choices to a greater extent than we usually admit.

⑤One good example of the link between emotion and morality is the famous “runaway train dilemma:” a runaway train carriage is speeding down the tracks on its way to smash into five railway workers who cannot see the danger and will certainly be killed; you happen to be standing by a lever that will move the carriage onto another track; however, there is another worker on that track who will be killed if you do so.

⑥The question is whether you should pull the lever and save five lives 【 ア 】 one.

⑦After answering that question, consider another version of the dilemma: you are on a bridge watching the runaway carriage, and the only way you can stop it is to push a large man who happens to be leaning over the side into its path. Again, should you do it?

第2パラグラフ

第5文

One good example of the link between emotion and morality is the famous “runaway train dilemma” a runaway train carriage is speeding down the tracks on its way to smash into five railway workers who cannot see the danger and will certainly be killed; you happen to be standing by a lever that will move the carriage onto another track; however, there is another worker on that track who will be killed if you do so.

この文は長いので、数か所で切りましょう。まず一つ目のセミコロン(;)あるところまでを見ましょう。

One good example of the link between emotion and morality is the famous “runaway train dilemma” a runaway train carriage is speeding down the tracks on its way to smash into five railway workers who cannot see the danger and will certainly be killedの部分です。

この文の主語はOne good example(一つの良い例)です。

「何に関する例か」は of the link between emotion and morality (感情と道徳心)のつながりに関する例です。

述語はis the famous “runaway train dilemma”(有名な「暴走電車のジレンマ」です)となります。

ここで“runaway train dilemma”(暴走電車のジレンマ)は「有名」とされていますが、これを知らなくても次の文に出てきますので心配ありません。

その部分がa runaway train carriage is speeding down the tracks on its way to smash into five railway workers who cannot see the danger and will certainly be killedの部分です。

このパッセージは前の“runaway train dilemma”の直後にコロンやセミコロンやカンマがないのに突然出てくる感じがするので読みにくいかもしれません。これは一種の「同格」です。

抽象的な事柄を示す単語が一語でポツンと出てきたら、このようにいきなりSVが出てきて、その抽象的な事柄の部分が説明されることがありますので注意してください。

本文を読んでいて、ここがrunaway train dilemma”(暴走電車のジレンマ)の説明であることがわかった人はちゃんとした読み方ができています。合格です。

この部分の主語はa runaway train carriage(電車の車両)で述語は is speeding (スピードを出しています)です。

「どこでスピードを出しているのか」はdown the tracks on its way(その軌道上で)です。 to smash into five railway workers は「5人の線路上の作業者をはねてしまう」です。

その作業者の説明はwho cannot see the danger and will certainly be killed(その危険がわからず確実に死んでしまう)です。

次の部分はやはりセミコロン(;)までyou happen to be standing by a lever that will move the carriage onto another trackを見てみましょう。

この文の主語はyouで述語は happen to be standing (たまたまそこに立っていた)です。

「どこに立っていたのか」はby a lever(レバーのそばに)です。

「どんなレバーか」は that will move the carriage(その車両を動かす)レバーです。

「どこに動かすのか」は onto another track(もう一つの軌道に)です。

最後の部分 however, there is another worker on that track who will be killed if you do soを見ましょう。

この文はthere is~(~がいる)構文です。

主語はanother worker(別の一人の作業員)ですから「もう一人の別の作業員がいる」ということです。「どこにいるのか」はon that track(その軌道上に)です。

who will be killed if you do soは「もしあなたがそうすると殺されてしまうであろう」です。if you do so(もしあなたがそうすると)は、あなたがレバーを使って車両を別の線路に動す」という意味です。

訳:
感情と道徳心のつながりを示す良い例は有名な「暴走電車のジレンマ」です。

ある電車がその線路上でスピードを上げていますが、その線路の先にいるこの危険を知らない5人の作業員にぶつかってしまうことになります。

あなたはたまたまこの電車を別の線路に移せるレバーの前にいます。

しかし、もしあなたがその電車を移すとその先には一人の作業員がいるのでその作業員は死んでしまうでしょう。

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いかがでしょう?道徳的な判断は感情の側面があるという例で「暴走電車のジレンマ」が出てきました。

私の時代は「暴走トロッコ」だった気がします。次回はどのようにロジックが広がるでしょう。お楽しみに。

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2021年5月21日

第243回.医学部入試問題-英語「長文読解-日本医科大学(2011年)」6

今日は第2パラグラフ第6文から読み進めていきましょう。解説の都合上本文やパラグラフに番号を入れています。

次の英文を読んで以下の問に答えなさい。

(2)①The second way in which emotions affect our sense of morality concerns the fact that morality itself is deeply rooted in emotional responses.

②(1)We may think that moral judgment means making choices based on more independent principles than merely how we feel, and we talk as if principles of right and wrong are, or at least should be, free of the influence of uncontrollable passions.

③But this is misleading rhetoric.

④Disgust, anger, love, panic,【 1 】 ,【 2 】, and so on all shape our ability to make moral choices to a greater extent than we usually admit.

⑤One good example of the link between emotion and morality is the famous “runaway train dilemma:” a runaway train carriage is speeding down the tracks on its way to smash into five railway workers who cannot see the danger and will certainly be killed; you happen to be standing by a lever that will move the carriage onto another track; however, there is another worker on that track who will be killed if you do so.

⑥The question is whether you should pull the lever and save five lives 【 ア 】 one.

⑦After answering that question, consider another version of the dilemma: you are on a bridge watching the runaway carriage, and the only way you can stop it is to push a large man who happens to be leaning over the side into its path. Again, should you do it?

問4 【 ア 】と【 イ 】に入れるのに最も適当な表現をそれぞれa~iから1つ選び,記号で答えなさい。

  • according to
  • but for
  • contrary to
  • except for
  • in addition to
  • in exchange for
  • in relation to
  • not to say
  • regardless of

第2パラグラフ

第6文

The question is whether you should pull the lever and save five lives 【 ア 】 one.

この文の主語は、文頭のThe question (この問題)です。「この問題」とは先の暴走列車の問題です。

述語はis whether~(~かどうかということです)となります。「~」の部分はyou should pull the lever(レバーを引く)and save five lives(そして5人の命を救う)という部分と【 ア 】oneの部分に分けられます。

【 ア 】 oneのoneは流れ的に「1人」ですから【 ア 】には「1人の命を犠牲にして」という意味の言葉が来ると推測できます。

ここで問4を解きましょう。

選択肢は 

  • a.according to(~に従って)
  • b.but for(~がなければ)
  • c.contrary to(~に反して)
  • d.except for(~を除いて)
  • e.in addition to(~に加えて)
  • f.in exchange for(~と交換して)
  • g.in relation to(~に関連して)
  • h.not to say(いうまでもなく)
  • i.regardless of(~と無関係に)

です。

よってf.in exchange for(~と交換して)が意味的に一番しっくりきますね。正解はfです。

訳:

この問題は、あなたはレバーを引いて1人の命と交換して5人の命を救うべきかどうかということです。

第7文
After answering that question, consider another version of the dilemma: you are on a bridge watching the runaway carriage, and the only way you can stop it is to push a large man who happens to be leaning over the side into its path. Again, should you do it?

この文は長いので、数か所で切りましょう。まず一つ目のコロン(:)あるところまでを見ましょう。After answering that question, consider another version of the dilemmaの部分です。

After answering that questionは「その質問に答えた後で」です。

consider another version of the dilemmaは動詞consider(熟考する)で始まっているので命令文です。

「何を熟考するのか」はanother version of the dilemma(ジレンマのもう一つの事例)です。

訳:

その問題に解答を出したら、もう一つのジレンマの例をよく考えましょう。

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いかがでしょう?

人の命は天秤にかけるようなものではないのですが、究極の選択として1人を救うか5人を救うかという問題ですね。

次回はどのようにロジックが広がるでしょう。お楽しみに。

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2021年6月04日

第244回.医学部入試問題-英語「長文読解-日本医科大学(2011年)」7

今日は第2パラグラフ第6文から読み進めていきましょう。解説の都合上本文やパラグラフに番号を入れています。

次の英文を読んで以下の問に答えなさい。

(2)①The second way in which emotions affect our sense of morality concerns the fact that morality itself is deeply rooted in emotional responses.

②(1)We may think that moral judgment means making choices based on more independent principles than merely how we feel, and we talk as if principles of right and wrong are, or at least should be, free of the influence of uncontrollable passions.

③But this is misleading rhetoric.

④Disgust, anger, love, panic,【 1 】 ,【 2 】, and so on all shape our ability to make moral choices to a greater extent than we usually admit.

⑤One good example of the link between emotion and morality is the famous “runaway train dilemma:” a runaway train carriage is speeding down the tracks on its way to smash into five railway workers who cannot see the danger and will certainly be killed; you happen to be standing by a lever that will move the carriage onto another track; however, there is another worker on that track who will be killed if you do so.

⑥The question is whether you should pull the lever and save five lives 【 ア 】 one.

⑦After answering that question, consider another version of the dilemma: you are on a bridge watching the runaway carriage, and the only way you can stop it is to push a large man who happens to be leaning over the side into its path.

⑧Again, should you do it?

第2パラグラフ

第7文

After answering that question, consider another version of the dilemma: you are on a bridge watching the runaway carriage, and the only way you can stop it is to push a large man who happens to be leaning over the side into its path.

前回はコロンの前まで訳したので、今日は後半部分(you are on a bridge watching the runaway carriage, and the only way you can stop it is to push a large man who happens to be leaning over the side into its path)を見ていきましょう。 you are on a bridge watching the runaway carriage, and the only way you can stop it is to push a large man who happens to be leaning over the side into its path.

この文の主語はyou で述語はare on a bridge watching (橋の上にいて、見ています)です。「何を見ているのか」はthe runaway carriage(その走っている電車の車両)です。つまり先の例での続きですが、状況が少し変わってきていますね。the only way you can stop itは「あなたがそれを止めることができるただ一つの方法は」です。ここが主語です。述語はis to push a large man 「大柄な男性を押すことです」です。「どんな男性か」はwho happens to be leaning(たまたま屈んでいる)です。「どのように屈んでいるのか」は over the side into its path(その道に向かう側で)です。つまり、「橋で身を乗り出している大柄な男性を押し落とす」ことで「男性が線路上に落ち、暴走電車を止め、作業している5人を救える」ということです。

訳:

あなたは橋の上にいて暴走電車が走っているのを見ています。あなたがこの電車を止められるただ一つの方法は、下の線路の上で橋に寄りかかっている大柄な男性を押すことです。

第8文
Again, should you do it?

訳:

今回もあなたはそれをすべきでしょうか。

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いかがでしょう?この「暴走列車のジレンマ」と類似したものがあるので考えてみましょう。

例1「あなたは5人が溺れているのを見つけて、急いでボートで救助向かっている。しかし、途中で溺れている人をまた一人発見した。その人を救助すれば、その間に5人が溺死してしまう。その人を救助するか、5人を救助するか?」。

例2「5人定員のボートが岸に向かう途中で一人の溺れている人を発見した。彼を救助するとボートが沈んでしまう。彼を救助するか?」

例3「病院に5人の若い患者がいて、それぞれ部位が異なる臓器の移植を緊急に必要としている。そこに適合する5つの臓器を持つ軽症の患者が現れた。彼を殺して臓器を移植すれば5人を助けることができる。彼を殺すことは許されるか?」

こうしたものは例1と例2は今回のテーマに近いものです。

本文の2つ目の事例と例2の違いは「直接行動するか、何もしないか」です。

例3は医学部の面接でも近いものが問われます。

特にMMI型の面接ではこうしたものがベースになることが多いです。注意しておきましょう。

次回はどのようにロジックが広がるでしょう。お楽しみに。

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2021年6月11日

第245回.医学部入試問題-英語「長文読解-日本医科大学(2011年)」8

今日は第3パラグラフから読み進めていきましょう。解説の都合上本文やパラグラフに番号を入れています。

次の英文を読んで以下の問に答えなさい。

(3)①Most people say yes to the first version and no to the second, even though both versions involve sacrificing one life for five.②This has been tested in surveys of over 150,000 people, 90 percent of whom said yes to pulling the lever, and no to pushing the man.③Instinct, and not rational judgment, seems to make the second choice “wrong.” ④In fact, however, medical researchers have found that the “instinctive” emotional response is governed by a part of the brain called the ventromedial prefrontal cortex (vmPFC).⑤People with damaged vmPFCs would push that large man just as easily as they would pull the lever. ⑥In contrast, those of us with undamaged vmPFCs would no more push the man than we would allow a surgeon to kill one healthy person in order to use his organs to save the lives of five patients who would die without them. ⑦Our emotional response is more powerful than any abstract rational calculation of the most beneficial outcome.

第3パラグラフ

第1文

Most people say yes to the first version and no to the second, even though both versions involve sacrificing one life for five.

この文の主語はMost people(たいていの人)で述語はsay yes(イエスといいます)です。「何に対してイエスというのか」は to the first version (最初の例)に対してです。 no to the secondは先の主語Most people(たいていの人)と述語の一部(say)が省略されています。これを補うと,Most people say no to the second.となるので「2つ目の例にはノーといいます」となります。

次の部分の文頭even though~ は「確かに~であるが」です。この部分の主語はboth versions (どちらの例にも)で述語はinvolve sacrificing (犠牲を含んでいます)です。「どんな犠牲か」はone life for five(5人の命のために1人の命)です。

訳:

どちらの例でも確かに5人の命のために1人の命を犠牲にするのですが、たいていの人は最初の例の質問にはイエスと答え、2つ目の質問にはノーと答えます。

第2文
This has been tested in surveys of over 150,000 people, 90 percent of whom said yes to pulling the lever, and no to pushing the man.

この文の主語はThis(このこと)です。前文の前半部分のMost people say yes to the first version and no to the second, (ほとんどの人は最初の例の質問にはイエスと答え、2つ目の質問にはノーと答えること)です。この文の述語は has been tested (テストされました)です。in surveysは「調査で」です。 「どんな調査か」はof over 150,000 people(15万人に対する調査)です。次の90 percent of whom (彼らのうちの90パーセント)が主語です。述語はsaid yes(イエスといいました)です。「何に対してイエスと言ったのか」は to pulling the lever(レバーを引くことです), and no to pushing the manは「その男を押すことに対してはノーと言った」です。

つまり、1人を犠牲にして5人救うという同じ結果に対して、9割の人はレバーを引いて車両を別の線路に誘導することは肯定するものの、直接目の前の人を落として車両を止めることには肯定しなかったということです。

訳:

このことは15万人の人に調査されました。そして90パーセントの人がレバーを引くことにイエスと答え、人を押すことにはノーと答えました。

第3文
Instinct, and not rational judgment, seems to make the second choice “wrong.”

この文の主語はInstinct, and not rational judgment(本能と合理的な判断ではないもの)です。術後は seems to ~(~であるように見える)です。「どのように見えるのか」はmake the second choice “wrong.”(2つ目の選択肢を「間違ったもの」のする)ように見えるのです。2つ目の選択肢とは、男を押して車両を止めるという選択肢です。

訳:

本能であって、合理的な判断ではないものが2つ目の選択肢を「間違った」ものにしているように見えます。

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いかがでしょう?同じ結果に対して行動が異なるとうことはそこに合理性を超えるものがあるということですね。それが感情であるというロジックです。次回はどのようにロジックが広がるでしょう。お楽しみに。

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2021年6月18日

第246回.医学部入試問題-英語「長文読解-日本医科大学(2011年)」9

今日は第3パラグラフ第4文から読み進めていきましょう。解説の都合上本文やパラグラフに番号を入れています。

次の英文を読んで以下の問に答えなさい。

(3)①Most people say yes to the first version and no to the second, even though both versions involve sacrificing one life for five.②This has been tested in surveys of over 150,000 people, 90 percent of whom said yes to pulling the lever, and no to pushing the man.③Instinct, and not rational judgment, seems to make the second choice “wrong.” ④In fact, however, medical researchers have found that the “instinctive” emotional response is governed by a part of the brain called the ventromedial prefrontal cortex (vmPFC).⑤People with damaged vmPFCs would push that large man just as easily as they would pull the lever. ⑥In contrast, those of us with undamaged vmPFCs would no more push the man than we would allow a surgeon to kill one healthy person in order to use his organs to save the lives of five patients who would die without them. ⑦Our emotional response is more powerful than any abstract rational calculation of the most beneficial outcome.

第3パラグラフ

第4文

In fact, however, medical researchers have found that the “instinctive” emotional response is governed by a part of the brain called the ventromedial prefrontal cortex (vmPFC).

文頭のIn fact, however, は「しかしながら実は」です。主語を導いています。この文の主語はmedical researchers(医療研究者)です。述語は have found (発見しました)です。「何を発見したか」はthat以下です。この部分の主語は the “instinctive” emotional response(「本能的な」感情的な反応)です。述語は is governed (支配されている)です。「何に配されているのか」はby a part of the brain(脳の部分)です。「どんな部分か」は called the ventromedial prefrontal cortex (vmPFC)(腹内側前頭葉皮質(vmPFC)と呼ばれる部分)です。

訳:

しかしながら実は医療研究チームは「本能的」な感情の反応は腹内側前頭葉皮質と呼ばれる脳の部位で支配されていることを発見しました

第5文
People with damaged vmPFCs would push that large man just as easily as they would pull the lever.

この文の主語はPeople(人たち)です。「どんな人たちか」は with damaged vmPFCs(腹内側前頭葉皮質に損傷のある)人たちです。述語は would push that large man (その大きな男性を押すでしょう)です。「どのように押すのか」はjust as easily as(まさに同じくらい簡単に)です。「何と同じ位簡単なのか」は they would pull the lever(レバーを引くのと同じくらい簡単に)です。

訳:

脳の腹内側前頭葉皮質に損傷のある人はレバーを引くのと同じくらいの手軽さでその大きな男性を押すでしょう

第6文
In contrast, those of us with undamaged vmPFCs would no more push the man than we would allow a surgeon to kill one healthy person in order to use his organs to save the lives of five patients who would die without them.

文頭のIn contrastは「これと対比して」です。 次のthose(人々)が主語です。「どんな人たちか」はof us with undamaged vmPFCs(私たちの中で腹内側前頭葉皮質に損傷を受けていない)人たちです。述語はwould no more push(押さないでしょう)です。 

ここで後ろを見るとthanという単語が見つかるので。これは「クジラ構文だ」と見抜いてください。クジラ構文はA is no more B than C「AはCと同様Bではない」 という構文です。

本文ではAはthose of us with undamaged vmPFCs(私たちの中で腹内側前頭葉皮質に損傷を受けていない人たち)で、Bがpush the man(その人を押すこと)でCはwe would allow a surgeon(外科医を許すこと)です。
 「何を許すのか」はto kill one healthy person(一人の健康な人を殺すこと)です。「なぜ殺すのか」は in order to use his organs(彼の臓器を使うために)です。「何のために使うのか」は to save the lives (命を救うため)です。「誰の命か」はof five patients(5人の患者)です。「どんな患者か」はwho would die without them(それらがないと死んでしまう患者)です。

訳:

対照的に、腹内側前頭葉皮質に損傷を受けていない人は、臓器がないと死んでしまう患者5人の命を救うために一人の健康な人を外科医が殺してその臓器を使うことを許さないのと同様にその男性を押すことはしないでしょう。

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いかがでしょう?腹内側前頭葉皮質は「前頭前野」のことですからこの言葉の方がなじみがある人が多いのではないでしょうか。「前頭前野」は「考える・記憶する・アイデアを出す・感情をコントロールする・判断する・応用する」など、人間にとって重要な働きを担っています。人は合理性ということだけで判断したり行動を起こすわけではないということの論拠ですね。次回もお楽しみに。

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2021年7月2日

第247回.医学部入試問題-英語「長文読解-日本医科大学(2011年)」10

今日は問2を解いてから第3パラグラフ第7文を読み進めていきましょう。解説の都合上本文やパラグラフに番号を入れています。

次の英文を読んで以下の問に答えなさい。

(3)①Most people say yes to the first version and no to the second, even though both versions involve sacrificing one life for five.②This has been tested in surveys of over 150,000 people, 90 percent of whom said yes to pulling the lever, and no to pushing the man.③Instinct, and not rational judgment, seems to make the second choice “wrong.” ④In fact, however, medical researchers have found that the “instinctive” emotional response is governed by a part of the brain called the ventromedial prefrontal cortex (vmPFC).⑤People with damaged vmPFCs would push that large man just as easily as they would pull the lever. ⑥(2)In contrast, those of us with undamaged vmPFCs would no more push the man than we would allow a surgeon to kill one healthy person in order to use his organs to save the lives of five patients who would die without them. ⑦Our emotional response is more powerful than any abstract rational calculation of the most beneficial outcome.

問2 下線部(2)では2つの事例が類比的に示されているが,両者の類似性は何か,句読点を含む50字以内の日本語で簡潔に説明しなさい。

問2を解きます。まず、設問の本文と訳を確認しましょう。

本文はIn contrast, those of us with undamaged vmPFCs would no more push the man than we would allow a surgeon to kill one healthy person in order to use his organs to save the lives of five patients who would die without them.(対照的に、腹内側前頭葉皮質に損傷を受けていない人は、臓器がないと死んでしまう患者5人の命を救うために一人の健康な人を外科医が殺してその臓器を使うことを許さないのと同様にその男性を押すことはしないでしょう)です。

設問文を検討しましょう。「下線部(2)では2つの事例が類比的に示されているが,両者の類似性は何か~」となっているので、まず「2つの事例が類比的に示されている」を確認しましょう。本文で出てきた事例を整理します。

①暴走列車がこのままだと線路上の5人の作業員をはねてしまうので、レバーを引いて列車を別の線路に誘導する。5人は助かるが誘導先にいる作業員1人を殺してしまう。

②暴走列車がこのままだと線路上の5人の作業員をはねてしまうので、その線路上に一人を突き落として列車を止める。5人は助かるが、落とされた1人を殺してしまうことになる。

③臓器がないと死んでしまう5人患者がいて、彼らの命を救うために1人の健康な人を殺してその臓器を使う。

そして、下線部(2)の第6文では①を踏まえたうえで、この3つの事例のうち、vmPFCs(腹内側前頭葉皮質)に損傷がない人は②と③を許さない、というをことが述べられました。

つまり、第4文でPeople with damaged vmPFCs would push that large man just as easily as they would pull the lever.(脳の腹内側前頭葉皮質に損傷のある人はレバーを引くのと同じくらいの手軽さでその大きな男性を押すでしょう)と書いたことを裏打ちしている文ですね。

さらに第5文ではIn fact, however, medical researchers have found that the “instinctive” emotional response is governed by a part of the brain called the ventromedial prefrontal cortex (vmPFC).(しかしながら実は医療研究チームは「本能的」な感情の反応は腹内側前頭葉皮質と呼ばれる脳の部位で支配されていることを発見しました)とあるので、設問の「2つの事例が類比的」なのは②と③であり「両者の類似性比較」は①を踏まえてvmPFCsとの関係を書けばいいですね。

解答例
本能的な感情を司るvmPFCsが機能していないと、5人の命を救うために簡単に1人の命を犠牲にできる(48字)

第3パラグラフ

第7文

Our emotional response is more powerful than any abstract rational calculation of the most beneficial outcome.

この文の主語はOur emotional response(私たちの感情の反応)で術後はis more powerful(より強力です)です。「何より強力なのか」は than any abstract rational calculation(どんな抽象的かつ合理的な計算)です。「どのような計算か」はof the most beneficial outcome(最も利益にある結果)です。

訳:

私たちの感情の反応というものは、最も利益を伴うような結果に対してのどんな抽象的かつ合理的な計算よりも強力なのです。

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いかがでしょう?今回の設問を50字でまとめるのはなかなか難しかったかもしれません。解答を作る前にポイントを整理してまとめる癖をつけてください。時間との戦いですね。本文はいよいよ最終パラグラフに入っていきます。次回もお楽しみに。

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2021年7月16日

第248回.医学部入試問題-英語「長文読解-日本医科大学(2011年)」11

今日は第4パラグラフから読み進めていきましょう。解説の都合上本文やパラグラフに番号を入れています。

次の英文を読んで以下の問に答えなさい。

(4)①It can be disturbing to realize how much our sense of morality is influenced by emotions. ②However, without the right emotional responses to guide us, might we not actually make poor moral judgments?③Are we not right to resist pushing the large man off the bridge, even if the result of doing so would seem to justify the action? ④Someone who can push the man off as easily as pull a lever has a core part of their moral machinery missing, an emotional blind spot, and could presumably commit cruelty without a second thought.⑤In short, 【 イ 】 the view that our feelings should be irrelevant to our morality, we actually need our emotions if we are to be moral people. ⑥By being outside our rational control and by directing many of our moral responses, our emotions help us trust ourselves, just as they help other people trust us.

第4パラグラフ

第1文

It can be disturbing to realize how much our sense of morality is influenced by emotions.

この文の主語はitですが、その中身はうしろのto以下ですのでその部分を先に見ましょう。
to realizeは「気づくこと」です。「何に気づくのか」は how much our sense of morality (どれだけ私たちの道徳心)がis influenced(影響されるか)です。

by emotionsは「感情によって」です。これがitの中身ですから、この部分は真主語と仮主語の関係です。

述語部分はcan be disturbing ですから、「かき乱す可能性がある」です。

訳:

どれだけ私たちの道徳心というものが感情に影響されてしまうかに気づくと驚いてしまうこともあるかもしれません。

第2文

However, without the right emotional responses to guide us, might we not actually make poor moral judgments

文頭のHoweverは「しかしながら」です。ここで前文が「感情によって道徳心が影響されることを知ると驚いてしまうかもしれない」と言っているので、ここから先は「しかしながら、いかに感情と道徳心が結びついているか、を述べていくのだろう」というロジックの推測がhoweverという単語を見たとたんにできますね。

Withoutは「~なしで」といったん訳してもよいのですが「①もし~がなければ、②たとえ~がないとしても③~がないので」といった訳が使いこなせると訳の幅が広がります。

ここでの主語はthe right emotional responses 「適切な感情の反応」です「何の反応か」はto guide us(私たちを導く)です。 might we not actually make poor moral judgments?の部分は疑問文ですから倒置が起きて、mightから始まっています。

主語はwe で、述語がmight not actually makeです。makeは後ろの judgmentsとワンセットで「判断する」という意味です。actuallyは「実際に」です。

make poor moral judgmentsは「道徳的に間違えた判断をしない」です。ここでのpoorは先のright(適切な)に対応する使い方がされています。

ここは直訳すると「私たちが道徳的に適切でない判断を実際にしないかもしれないことがあるでしょうか?」となります。これを修辞的に訳すと「私たちは実際に道徳的に適切でない判断をしてしまうかもしれない」と言うことです。と言うことは文頭のwithoutは②の「たとえ~がないとしても」を当てはめて「たとえ私たちの行動を導く適切な感情の反応がないとしても」がしっくりきます。

訳:

しかし、たとえ私たちの行動を導く適切な感情の反応がないとしても、実際に道徳的に適切でない判断をしてしまうかもしれないのではないでしょうか。

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いかがでしょう?感情と道徳心の強い結びつきについての論拠の補強がなされました。経済学では「合理人モデル」といって「感情」を考慮しない人間をモデルにして市場分析をしていきます。しかし実際の人の行動はそうした仮定をしなければ学問が成り立たなくなるほど複雑なのです。さらにこうした分析が続きます。次回もお楽しみに。

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2021年9月15日

第249回.医学部入試問題-英語「長文読解-日本医科大学(2011年)」12

今日は第4パラグラフ、第3文から読み進めていきましょう。解説の都合上本文やパラグラフに番号を入れています。

次の英文を読んで以下の問に答えなさい。

(4)①It can be disturbing to realize how much our sense of morality is influenced by emotions. ②However, without the right emotional responses to guide us, might we not actually make poor moral judgments?③Are we not right to resist pushing the large man off the bridge, even if the result of doing so would seem to justify the action? ④Someone who can push the man off as easily as pull a lever has a core part of their moral machinery missing, an emotional blind spot, and could presumably commit cruelty without a second thought.⑤In short, 【 イ 】 the view that our feelings should be irrelevant to our morality, we actually need our emotions if we are to be moral people. ⑥By being outside our rational control and by directing many of our moral responses, our emotions help us trust ourselves, just as they help other people trust us.

問4 【 ア 】 と 【 イ 】 に入れるのに最も適当な表現をそれぞれa~iから1つ選び,記号で答えなさい。

  • a.according to
  • b.but for
  • c.contrary to
  • d.except for
  • e.in addition to
  • f.in exchange for
  • g.in relation to
  • h.not to say
  • i.regardless of

第4パラグラフ

第3文

Are we not right to resist pushing the large man off the bridge, even if the result of doing so would seem to justify the action?

この文は疑問文です。主語はweで、述語はare not right to resist(抵抗することは正しくない)です。「何に抵抗するのか」はpushing the large man off the bridge(大きな男性を橋から落とすこと)です。even if ~は「たとえ~であろうが」です。the result of doing so は「そうすることの結果」です。「そうする」とは「大きな男を橋から落とすこと」です。would seem to justify the actionは「その行動を正当化するように見える」です。

訳:

その大きな男を橋から突き落とすことの結果がたとえその行動を正当化するようみ見えるとしても、その男を突き落とすことに抵抗を感じるのは正しいことではないのでしょうか?

第4文

Someone who can push the man off as easily as pull a lever has a core part of their moral machinery missing, an emotional blind spot, and could presumably commit cruelty without a second thought.

この文の主語はSomeone(だれか)です。「どんな人か」は who can push the man off(男を突き落とすことのできる人)です。「どのように落とすのか」は as easily as pull a lever(レバーを引くのと同じくらい簡単に)です。

述語は has a core part(中枢部を持っている)です。「どのような中枢部か」は of their moral machinery missing(道徳的な意思決定のしかたに瑕疵があるような中枢部)です。

an emotional blind spot(感情の盲点)は前の部分の言いかえです。次の部分では2つ目の動詞が出てきます。 could presumably commit cruelty (おそらく残酷なことをする)です。without a second thoughtは「考え直すこともせずに」です.

訳:

レバーを引くのと同じくらい簡単に男をつく落とすことができる人は、自動的に道徳的な意思決定をする中枢部が欠けてしまっているのです。つまり、感情面で盲点になっている部分があるのです。そして躊躇せずに残酷なことができてしまうのです。

第5文

In short, 【 イ 】the view that our feelings should be irrelevant to our morality, we actually need our emotions if we are to be moral people

この文は設問になっているので、その部分を外して、まず、前半部分を読みましょう。文頭のIn shortは「手短に言うと、つまり」です。次のthe view(見方)という名詞に that 以下がかかります。この部分での主語はour feelings(私たちの感情)で述語は should be irrelevant(無関係であるはずである)です。 「何と無関係のはずなのか」はto our morality(私たちの道徳心に対して)です。

ここまでの訳は「要約すると、私たちの感情は道徳心とは無関係であるはずだという見方」になります。

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いかがでしょう?いよいよ最終段落に入りました。これまでの概念のまとめが出てきます。しっかりロジックを押さえて設問に備えましょう。次回もお楽しみに。

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2021年9月27日

第250回.医学部入試問題-英語「長文読解-日本医科大学(2011年)」13

今回は日本医科大学の入試問題(2011年)を解いています。

今日は第4パラグラフ・第5文と設問4を解いて、次の文を読み進めていきましょう。解説の都合上本文やパラグラフに番号を入れています。

次の英文を読んで以下の問に答えなさい。

(4)①It can be disturbing to realize how much our sense of morality is influenced by emotions. ②However, without the right emotional responses to guide us, might we not actually make poor moral judgments?③Are we not right to resist pushing the large man off the bridge, even if the result of doing so would seem to justify the action? ④Someone who can push the man off as easily as pull a lever has a core part of their moral machinery missing, an emotional blind spot, and could presumably commit cruelty without a second thought.⑤In short, 【 イ 】 the view that our feelings should be irrelevant to our morality, we actually need our emotions if we are to be moral people. ⑥By being outside our rational control and by directing many of our moral responses, our emotions help us trust ourselves, just as they help other people trust us.

問4 【 ア 】 と 【 イ 】 に入れるのに最も適当な表現をそれぞれa~iから1つ選び,記号で答えなさい。

  • a.according to
  • b.but for
  • c.contrary to
  • d.except for
  • e.in addition to
  • f.in exchange for
  • g.in relation to
  • h.not to say
  • i.regardless of

第4パラグラフ

第5文

In short, 【 イ 】 the view that our feelings should be irrelevant to our morality, we actually need our emotions if we are to be moral people

irrelevant to our moralityを読みました。訳は「要約すると、私たちの感情は道徳心とは無関係であるはずだという見方」でした。
後半部分を見ましょう。we actually need our emotions if we are to be moral peopleの部分です。

ここでの主語は we で述語はactually need( 実際に必要です)です。「何が必要なのか」はour emotions(私たちの感情)です。 if we are to be moral peopleの部分はbe to 不定詞の構文でやった「if ~be to」ですから「意図:~するつもりなら」と訳します。ここでは「普通の人間であるつもりならば」ということです。
ここまでの訳は「もし私たちが普通の人間であるつもりなら、私たには実際に感情が必要なのです」となります。

【 イ 】 に入る選択肢を検討するとa.according to~は「~にしたがって」b.but for~は「~を除いて」c.contrary to~は「~に反して」d.except for~は「~を除いて」e.in addition to~は「~に加えて」f.in exchange for~は「~と交換して」g.in relation to~は「~とは無関係に」h.not to say~は「~は言うまでもなく」i.regardless of~は「「~とは無関係に」です。ですから、「私たちの感情は道徳心とは無関係であるはずだという見解」の部分とつながって意味を成すものはc.contrary to~は「~に反して」です。

正解:

C

第6文

By being outside our rational control and by directing many of our moral responses, our emotions help us trust ourselves, just as they help other people trust us.

この文は長いので、カンマのあるところで区切ります。前半を見ましょう。By being outside our rational control and by directing many of our moral responsesの部分ですが。byが2か所出てきます。それぞれを見ると、By being outsideは「外にいることによって」です。

「何の外にいるのか」は our rational control(私たちの理性の管理)です。もう一つはby directing(導くことによって)です。「何を導くのか」は many of our moral responses(道徳的な反応の多く)です。「どこに導くのか」は書いてないですが「外に」ですね。ここまでの訳は「理性が管理するの外にいることや私たちの理性的な反応の多くを外に向けることによって」です。

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いかがでしょう?これまでのロジックの総点検です。これまでの概念のまとめをすれば、今回の設問は解きやすかったですね。次回は最終文と残った設問を解いていきましょう。お楽しみに。

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2021年10月01日

第251回.医学部入試問題-英語「長文読解-日本医科大学(2011年)」14

今回は日本医科大学の入試問題(2011年)を解いています。今日は第4パラグラフ・第6文を読んで、残った設問を解いていきましょう。解説の都合上本文やパラグラフに番号を入れています。

次の英文を読んで,設問に答えなさい。

(4)①It can be disturbing to realize how much our sense of morality is influenced by emotions. ②However, without the right emotional responses to guide us, might we not actually make poor moral judgments? ③Are we not right to resist pushing the large man off the bridge, even if the result of doing so would seem to justify the action?④Someone who can push the man off as easily as pull a lever has a core part of their moral machinery missing, an emotional blind spot, and could presumably commit cruelty without a second thought. ⑤In short, イ the view that our feelings should be irrelevant to our morality, we actually need our emotions if we are to be moral people. ⑥By being outside our rational control and by directing many of our moral responses, our emotions help us trust ourselves, just as they help other people trust us.

  問5 本文の内容をふまえ,次の英文を完成させるのに最も適当な表現をa~d
   から1つ選び,記号で答えなさい。
 Human emotions can be used to explain
 a.why people behave immorally, but not why they behave morally.
 b.why people behave morally, but not why they behave immorally.
 c.why people behave morally as well as why they behave immorally.
 d.neither why people behave morally nor why they behave immorally.

  

第6文
By being outside our rational control and by directing many of our moral responses, our emotions help us trust ourselves, just as they help other people trust us.

前回はこの文のBy being outside our rational control and by directing many of our moral responses(理性が管理するの外にいることや私たちの理性的な反応の多くを外に向けることによって)を検討しましたので、今回は後半を見ていきましょう。our emotions help us trust ourselves, just as they help other people trust usの部分です。

この部分で主語はour emotions (私たちの感情)で述語はhelp(手助けする)です。「誰が何をするのを手助けするのか」は us(私たちが) trust(信じることを)です。「誰を信じるのか」は ourselves(私たち自身を)です。 just as ~は「~であるように」です。

they help other people trust usの部分は、主語がtheyで、ここでは、先ほどのemotions (感情)を指します。述語はhelp(手助けする)です。「誰が何をするのを手助けするのか」はother people(ほかの人が) trust(信じることを)です。「誰を信じるのか」は us(私たちを)です。

訳: 理性が管理する領域の外にいることや理性的な反応の多くを外に向けることによって、私たちの感情は他人が私たちを信頼するのに役立つように、私たちが自身を信頼するのにも役立つのである

設問 問5
問題文は、選択肢と合わせてHuman emotions can be used to explain~(人間の感情は~を説明するために使うことができる)となります。この~の部分に来るものを選びます。選択肢を見ましょう。
 a.why people behave immorally, but not why they behave morallyは「なぜ人々は道徳的な行動ではなく不道徳な行動をするのか」です。これでは人はいつでも不道徳な行動しかしていないことになるので×です。

 b.why people behave morally, but not why they behave immorallyは「なぜ人々は不道徳な行動ではなく道徳的な行動をするのか」です。これはaとは逆に、人はいつでも道徳な行動しかしていないことになるので、これも×です。

 c.why people behave morally as well as why they behave immorallyは「なぜ人々は不道徳な行動と同じように道徳的な行動をするのか」です。人は「状況によって行動に感情が関与する」ので「不道徳な行動も道徳的な行動と同様にしてしまう」というのが本文の趣旨ですからこれが正解です。

 d.neither why people behave morally nor why they behave immorallyは「なぜ人々は不道徳な行動も道徳的な行動もしないのか」です。この選択肢は正解であるcの裏返しで作問されたものです。一般的に考えてもおかしな選択肢であることが容易にわかるでしょう。よって×です。

正解 C

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いかがでしょう?いよいよ最終段落の論旨もこれまでの結論のまとめと考えればわかりやすいですね。次回もしっかりロジックを押さえて残った設問を解きましょう。次回もお楽しみに。
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2021年10月15日

第252回.医学部入試問題-英語「長文読解-日本医科大学(2011年)」15

今回は日本医科大学の入試問題(2011年)を解いています。前回までで本文は今日は残った設問を解いていきましょう。解説の都合上本文やパラグラフに番号を入れています。

  問6 本文の内容と一致する英文をa~dから1つ選び,記号で答えなさい。
 a.Our belief that human emotions are difficult to control makes it easier for us to pardon those who make bad moral choices.
 b.The runaway train dilemma shows that people generally follow rational thought processes in making moral decisions.
 c.A purely emotional approach to the runaway train dilemma would make most people answer yes to both versions.
 d.It is as yet impossible to scientifically explain the human emotional response in moral decision-making.
  
  問7 本文に含まれている単語について次の[1]~[3]のそれぞれで最も強く発音さ
  れる音節の母音が他の3語と異なるものが1つある。その語を選びなさい。
   [1] ア.alter イ.damage ウ.morality エ.rational
   [2] ア.concern イ.disturb ウ.merely エ.surgeon
   [3] ア.beneficial イ.credibility ウ.influence エ.irrelevant
  

  
問6選択肢を1つずつ検討していきましょう

a.Our belief that human emotions are difficult to control makes it easier for us to pardon those who make bad moral choices

「人間の感情は管理できないという私たちの信念は、間違った道徳的な選択をした人を許せない」ということですから「私たちは感情を抑えきれないと思っているので、道徳的に間違った判断をした人を許せない」ということです。

 これは本文の第1パラグラフ第2文でThe first is to do with the fact that our emotions are difficult to control and, therefore, difficult to fake.(1つ目の方法は、私たちの感情は抑えるのが難しく、よって偽ることが難しいという事実と関係があります)とあります。

また、第3文でAnd because they are difficult to fake, they give credibility to people who appear to commit immoral acts under their influence.(そして、感情は偽るのが難しいので、私たちは、精神的にまいっていているときに道徳的でない行為をしてしまいそうな人のことも信用することができるのです)とあり、第4文でWe tend to think that if people are honestly overcome by anger or love or panic, it is impossible for them to alter their course of action, and we regularly forgive them simply because we believe a powerful emotion prevented them from making the right moral choice.(私たちが一般的に考えることは、もし私たちが怒りや愛や衝撃といったものに心から支配されてしまっていると、自分の行動を変えていくことは不可能であるということです)続きます。

 さらに第5文でAs we all know, this belief in the uncontrollable power of emotions can even help people who break the law escape the legal consequences of their actions.(私たちがみな知っているように、感情の抑えが効かないような状況にあるときに、私たちがこのような考え方をとることで、ある人が法を犯した場合でも、その人の行動の法的な結果から逃れる手助けをすることさえできるのです)とありますので、この選択肢は〇です。

正解 a

b.The runaway train dilemma shows that people generally follow rational thought processes in making moral decisions

「暴走列車のジレンマは人は道徳的な判断をするときに一般的には合理的な思考に従うということを表している」という意味です。

 これは、第2パラグラフ・第4文でDisgust, anger, love, panic, delight, grief , and so on all shape our ability to make moral choices to a greater extent than we usually admit(嫌悪感、怒り、愛情、動揺、喜び、悲しみといったものはすべて、私たちが通常認めるよりも大きく道徳的選択の能力を形作ります)とあります。

そして、第3パラグラフ・第7文でOur emotional response is more powerful than any abstract rational calculation of the most beneficial outcome.(私たちの感情の反応というものは、最も利益を伴うような結果に対してのどんな抽象的かつ合理的な計算よりも強力なのです)とあるので×です。

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いかがでしょう?本文全体に関する正誤問題はパラグラフごとに処理する方法と、最後まで読み切ってから解答する方法がありますが、実は前者がおすすめです。ここでは解説の都合上、後者になっています。復習でしっかり見直してください。次回もしっかりロジックを押さえて残った設問を解きましょう。お楽しみに。
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2021年10月22日

第253回.医学部入試問題-英語「長文読解-日本医科大学(2011年)」16

今回は日本医科大学の入試問題(2011年)を解いています。前回までで本文は今日は残った設問を解いていきましょう。解説の都合上本文やパラグラフに番号を入れています。

  問6 本文の内容と一致する英文をa~dから1つ選び,記号で答えなさい。
 a.Our belief that human emotions are difficult to control makes it easier for us to pardon those who make bad moral choices.
 b.The runaway train dilemma shows that people generally follow rational thought processes in making moral decisions.
 c.A purely emotional approach to the runaway train dilemma would make most people answer yes to both versions.
 d.It is as yet impossible to scientifically explain the human emotional response in moral decision-making.
  
  問7 本文に含まれている単語について次の[1]~[3]のそれぞれで最も強く発音さ
  れる音節の母音が他の3語と異なるものが1つある。その語を選びなさい。
   [1] ア.alter イ.damage ウ.morality エ.rational
   [2] ア.concern イ.disturb ウ.merely エ.surgeon
   [3] ア.beneficial イ.credibility ウ.influence エ.irrelevant
  

  前回問6のbまで解きましたので、残りを見ていきましょう。

c.A purely emotional approach to the runaway train dilemma would make most people answer yes to both versionsは「暴走列車に対する純粋な感情移入は、ほとんどの人にどちらのパターンであってもイエスと解答させる」です。

これは「暴走列車のジレンマでは、感情が入り込むので、ほとんどの人はどちらのパターンでもイエスと答える」という意味です。

 本文を見ると、第3パラグラフ・第1文にMost people say yes to the first version and no to the second, even though both versions involve sacrificing one life for five(どちらの例でも確かに5人の命のために1人の命を犠牲にするのですが、たいていの人は最初の例の質問にはイエスと答え、2つ目の質問にはノーと答えます)とあり、さらに第2文でThis has been tested in surveys of over 150,000 people, 90 percent of whom said yes to pulling the lever, and no to pushing the man(このことは15万人の人に調査されました。

そして90パーセントの人がレバーを引くことにイエスと答え、人を押すことにはノーと答えました)とあります。よって×です。

d.It is as yet impossible to scientifically explain the human emotional response in moral decision-making は「道徳的な意思決定における人間の感情を科学的に説明することは、今のところ不可能である」です。

 これは第3パラグラフ・第4文でIn fact, however, medical researchers have found that the “instinctive” emotional response is governed by a part of the brain called the ventromedial prefrontal cortex (vmPFC).(しかしながら実は医療研究チームは「本能的」な感情の反応は腹内側前頭葉皮質と呼ばれる脳の部位で支配されていることを発見しました)とあります。

 また、第5文でPeople with damaged vmPFCs would push that large man just as easily as they would pull the lever(脳の腹内側前頭葉皮質に損傷のある人はレバーを引くのと同じくらいの手軽さでその大きな男性を押すでしょう)とあり、第6文にIn contrast, those of us with undamaged vmPFCs would no more push the man than we would allow a surgeon to kill one healthy person in order to use his organs to save the lives of five patients who would die without them.(対照的に、腹内側前頭葉皮質に損傷を受けていない人は、臓器がないと死んでしまう患者5人の命を救うために一人の健康な人を外科医が殺してその臓器を使うことを許さないのと同様にその男性を押すことはしないでしょう)とあります。

よって×です。

問7を解きましょう。

 この問題はアクセントと発音を同時に問われる問題です。
[1] alter以外は すべて日本語のアとエの中間の曖昧母音です。
[2] merelyは日本語のイに近い音で残りは[a:]という音です。
[3] irrelevantはeの音、残りはiの音になります。

正解 [1] ア [2] ウ [3] エ

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いかがでしょう?今回でこの問題は終了です。とても面白い話だったと思います。次回もしっかりロジック磨く問題を準備しますので、楽しみながら読んでいきましょう。お楽しみに。
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2021年10月29日
プロフィール
峰岸敏之

峰岸 敏之

1964年生まれ。早稲田大学大学院・法学研究科前期課程修了、法学修士。大手新聞社で新聞記者を経験後、講師業に転向。

河合塾や城南予備校、栄光ゼミナールなどの大手予備校や医学部予備校などで、大学受験ブロック長や英語科責任者などを務める。指導教科は英語と小論文。

2013年春に横浜に医学部予備校を開校し、「30年以上続く予備校を作り、医学部への合格者を1000人を出す」が目標。

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