医学部入試で特徴的なのが面接試験を取り入れて学力だけでなく人物面も合格に影響してくることです。
医学部の入学試験では、面接試験が課せられるのが一般的です。医学部受験において、近年は特に受験生の人間性が重要視されています。
学科試験の点数がよくても、医師になるのにふさわしい人材であると認められなければ、不合格となる可能性も十分に考えられるということです。
医学部受験で重要な面接試験は、どう対策していけばよいのでしょうか。
この記事では、6年制大学の医学部で実施される面接試験について、面接が必要な理由や試験の種類、最終合格へ向けた攻略法を解説します。
医学部を志望する受験生は必見の内容となっていますので、ぜひ参考になさってください。
医学部の面接試験について
医学部受験では、受験生の学力を判断する学科試験、人間性を見る面接試験が実施されています。
大学によって試験科目は多少異なりますが、国公立大学・私立大学の基本的な科目構成は以下のとおりです。
国公立大学の医学部試験科目(二次試験)
前期試験 | 学科試験 (英語・数学・理科2科目) +面接試験 |
---|---|
後期試験 | 小論文または総合問題 +面接試験 |
私立大学の医学部試験科目
学科試験(英語・数学・理科2科目) +小論文試験+面接試験 |
このように、医学部受験では国公立大学の前後期、私立大学ともに面接試験が課せられています。
6年制大学の医学部を受験するなら、学科試験だけでなく面接試験もしっかりと対策しておく必要があるのです。
面接試験の配点や評価は大学によって異なる
医学部で実施される面接試験は、各大学によって配点や評価方法が異なります。
特に国立大学では、面接試験の点数割合が全配点の3分の1以上を占める事例もあり、面接を重視する傾向が高まっています。
その一方で、面接を点数化せずに段階評価を行う大学もあります。
面接試験では、具体的な点数の算出方法は公開されません。
面接が比較的得意な方は面接重視の大学、苦手な方は学科重視の大学を受験するのもひとつの手でしょう。
面接試験なしの医学部はある?
2020年現在、面接試験なしの医学部はありません。
医学部を設置する大学は国公立大学・私立大学・準大学あわせて82大学あります。
長らく面接試験を実施していなかった東京大学は2018年度、九州大学は2020年度入試から面接試験を導入したため、現在はすべての大学の医学部において面接試験が実施されています(防衛医科大学校では口述試験を実施)。
医学部を受験するうえで、面接試験は避けては通れません。
今後はますます面接重視の流れが高まってくると考えられるため、医学部を目指す受験生にとって面接対策は欠かせないものとなるでしょう。
面接試験の配点比率が高い大学
医学部 | 区分 | 入試 科目 |
面接 比率 |
---|---|---|---|
秋田大学 | 国立 | 数学100、 英語100、 面接200 |
50.0% |
聖マリアンナ 医科大学 |
私立 | 数学100、 英語100、 理科200、 小論文50、 面接150 |
25.0% |
※国公立は二次試験の配点比率
※面接を点数化している大学から集計
面接試験の配点が低い大学
医学部 | 区分 | 入試 科目 |
面接 比率 |
---|---|---|---|
長崎大学 | 国立 | 数学250、 理科250、 英語200、 面接60 |
7.9% |
東京 医科大学 |
私立 | 数学100、 理科200、 英語100、 小論文60、 面接40 |
8.0% |
福島県立 医科大学 |
公立 | 数学200、 理科200、 英語200、 面接60 |
9.1% |
高知大学 | 国立 | 数学300、 理科300、 英語300、 面接100 |
10.0% |
千葉大学 | 国立 | 数学300、 理科300、 英語300、 面接100 |
10.0% |
久留米 大学 |
私立 | 数学100、 理科200、 英語100、 小論文50、 面接50 |
10.0% |
※国公立は二次試験の配点比率
※面接を点数化している大学から集計
医学部に面接試験が必要な理由
現在、すべての国公立・私立大学の医学部で面接試験が実施されています。
医学部受験において面接試験が必要な理由は、主に以下の2点が考えられます。
医師にふさわしい人材か見極めるため
医学部の面接試験では、今後医師となる受験生が「医師にふさわしい資質」を持っているか見極められます。
医師にふさわしい資質とは、主に受験生の「人間性」と「自覚」です。
具体的には、患者に寄り添ったコミュニケーションが取れるか、他のスタッフの考えを理解し尊重できるかという「人間性」の部分と、医療に関する知識や関心、問題意識をどのぐらい持っているかという「医師を職業とする自覚」の部分が面接で重視されます。
学科試験だけでは、受験生の「人間性」や「自覚」を確認することは難しいため、面接試験で実際に顔を合わせて対話することで受験生の人となりを確認しているのです。
地域医療に貢献する意思を確かめるため
医学部の面接試験では、地域医療に貢献する意志も確認されています。
高齢化が進む日本において、地域医療の担い手を増やすことは重要な課題のひとつです。
医学部医学科の定員数は過去10年を見ても大幅に増えており、医師の数を確保するための対策がとられていることがわかります。
ここで問題となるのは、医師の数が増えても、地域医療に貢献する医師が増えるとは限らないことです。
そのため、現在多くの大学で一般入試に「地域枠」が導入され、地域医療の担い手を集める対策が実施されています。
よって、面接試験でも受験生の地域医療への知識や関心を確かめ、「本当に地域医療に貢献する気持ちがあるのか」という点が見られているのです。
面接試験の種類
医学部の面接試験には、主に以下の3種類があります。
個人面接
医学部の個人面接は、受験生1人に対して面接担当者が1人もしくは複数人で行われる形式が一般的です。
面接試験の種類では最もオーソドックな形式です。
個別面接は1人で面接担当者と向き合うため緊張しやすいですが、しっかり質問を聞いて担当者との対話を心がけるのがポイントです。
集団面接
医学部の集団面接は、受験生・面接担当者ともに複数人で行われる形式が一般的です。
面接担当者から順次質問されひとりずつ答えていくため、担当者にとっては受験生同士の比較がしやすい面接形式です。
集団面接は、他の受験生と回答が重複する可能性があります。
その場合は表現を変えたり、より具体性を持たせたりと、できるだけ似通った回答にならないよう気をつけましょう。
グループディスカッション(集団討論)
医学部のグループディスカッション(集団討論)は、面接担当者からテーマが与えられ、そのテーマに沿って受験生だけで討論する形式です。
面接担当者は討論の様子を観察して評価を下すため、実際に討論に参加することはありません。
グループディスカッションには時間制限があり、決められた時間内で有意義な討論を交わすことが求められます。
自分の意見を出すのはもちろんですが、他の受験生の意見もしっかりと聞き、互いの意見を尊重しながら討論していくのがポイントです。
また、全員が討論に参加しやすい雰囲気づくりも大切です。
最終合格へ向けた攻略法
医学部受験で重視されるのは学力だけでなく、受験生の人間性や医師となる自覚・責任感も見られています。
ここでは、医学部合格に欠かせない面接試験を攻略するためのポイントをご紹介します。
志望大学のアドミッションポリシーを理解する
アドミッションポリシーとは、各大学が掲げる「入学者受け入れ方針」をいいます。
大学の理念や教育方針から、その大学が「どんな人材を受け入れて育てていきたいか」について明確に記載されています。
医学部の面接試験を受けるうえで、志望大学のアドミッションポリシーを理解しておくことは非常に重要です。
医学部を志望する理由や理想とする医師像などは、志望大学のアドミッションポリシーと合致している必要があるからです。
アドミッションポリシーは大学によって内容が異なります。
各大学のホームページやパンフレット、募集要項などに掲載されていますので、受験する大学のアドミッションポリシーは必ず確認しておきましょう。
また、医学部の面接においては、面接にふさわしい身だしなみやマナーを身につけておくことも大切です。
医学部面接の服装・髪型
制服のある現役生は制服で、制服のない現役生や浪人生は黒い無地のスーツを着用します。
髪型は前髪が目にかからず清潔感のあるスタイルで、色は黒が原則です。
お辞儀をしたときに髪が落ちてこないように、髪が長い方は結んでおきましょう。
また、女性の化粧はあまり濃くならないように、控えめにしましょう。
入退室のマナー
入室する際はドアを2回(もしくは3回)ノックし、担当者から「お入りください」と言われてからドアを開けます。
着席する際も、「お座りください」と言われてから着席しましょう。
面接が終わったら、座ったままで「本日はありがとうございました」と一礼、退室する際にもドアの前で担当者の方へ向いて「失礼します」と一礼します。
ドアは大きな音を立てないようゆっくり開閉しましょう。
志望理由など頻出質問は答えを用意しておく
医学部の面接試験でよく聞かれる質問はあらかじめ把握し、聞かれたらスラスラ答えられるように回答を用意しておきましょう。
あくまで一例ですが、医学部の面接試験では以下のような質問が頻出されています。
- 大学の志望理由
- 医学部の志望理由
- 理想の医師像
- 自分の長所・短所
- 高校生活で努力したこと
- 最近関心を持ったニュース(医療関係を中心に)
この中でも特に聞かれるのが、「大学の志望理由」「医学部の志望理由」「理想の医師像」です。
志望大学のアドミッションポリシーも参考に回答を準備し、声に出して練習しておきましょう。
嘘をつかない
ほとんどの面接担当者は何人もの受験生を面接してきた「面接のプロ」であり、受験生にありがちな嘘はすぐに見抜かれてしまいます。
最初はしのげると思っていても、面接担当者からの質問が重なると話に矛盾が生じてくるのはよくあることです。
また、知らない医学知識やニュースについて質問されたときに、よくわからないままあいまいな回答をするのは避けましょう。
変に取り繕わず、わからない質問に関しては「存じ上げません。勉強不足で申し訳ありません」など、謙虚な姿勢で正直に答えることが大切です。
【まとめ】医学部予備校の対策講座もおすすめ
医学部の面接試験では、学科試験だけでは判断できない受験生の「人間性」や、医師の仕事に就く「自覚」などが確認されます。
2020年現在、医学部を設置するすべての大学で面接試験を実施しているため、医学部を志望する受験生にとって面接対策は欠かせないものとなりました。
とはいえ、面接試験は学科試験と違い、具体的な点数の算出方法や評価の仕方が判断しにくい試験です。
そのため、どう対策すればよいかわからない方も多いでしょう。
医学部の面接対策でお悩みなら、医学部予備校で実施される対策講座の受講がおすすめです。
医学部予備校には各大学の面接試験に関するデータが集まっているため、志望大学の傾向に沿った対策を提案してもらえます。
医学部予備校もうまく活用し、志望大学合格を目指しましょう!
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