医学部合格への道
医学部受験の理科対策(医学部合格への道/第43回)

理科対策の戦術

『医学部合格への道』第43章.医学部理科対策の基本戦術

理科の勉強を始める前に知っておきたい基本戦術。

医学部受験で最も重要な科目「理科」の勉強を始める前に、知っておいた方が戦術がいくつかあります。

今回、第43回は、医学部受験の神様、和田秀樹先生より、理科対策の戦術について詳しくお話いただきました。

第43章.医学部理科対策の基本戦術

前回は医学部受験国語の対策の基本戦術を論じたが、それよりはるかに大切なのは理科対策だ。

私立大学医学部の大多数の大学で、配点が英語1:数学1:理科2の配点になっている。

要するに英語や数学が多少できても、理科ができないととても合格できないような配点になっているし、逆に英語や数学の仕上がりがイマイチでも、理科の頑張り次第では逆転が可能ということになる。

国公立の大学では、センター試験で理科は必須だし、二次試験で理科のない大学は、旭川医大や秋田大学など数校のレベルだ。

逆に北大や京大では、センターで受けていない科目を二次で一科目受けないといけない決まりになっているので、理科を3科目受験しないといけないことになる。

ことほど左様に、理科の比重が重いのが医学部受験の特色と言える。

すると、少しでも早く理科対策をと考えがちなのだが、ここにはいくつか落とし穴がある

一つは物理のように、数学で三角関数や微分積分あるいはベクトルの考え方が身についていないと、理解が進まないし、できるようにならない科目があるということだ。

こと物理に関しては、ちゃんと数学で数Ⅱ、数Bのレベルまでは終えていないのなら、始めるのが損だということになる。

また、生物や化学のように、単純暗記部分の多く科目は、あまり早く始めても、忘れてしまう可能性が高くなって、時間の無駄が多くなる。文系の受験生の社会科と同じことだ。

それ以上に問題なのは、理科に気を取られて、数学や英語の学力がしっかり伸びないことだ。

これらの科目はしっかり身に着けるのに時間がかかるが、いったん身に着いたら比較的成績が落ちにくい科目だ。

これをしっかり仕上げることで、逆に高校3年生や浪人の時期に理科に専念できるようにするほうが、はるかに医学部受験では有利だ。

よほど数学や英語の仕上がりがよくない限りは、理科は高校3年生以降に、それに専念するようにできるようにするつもりで、逆に高校2年生までは、英語と数学の学力を伸ばせるだけ伸ばすほうが、医学部受験の合格に近づけると心してほしい。

プロフィール
和田秀樹

和田秀樹

1960年生まれ。東京大学医学部卒業後、現在国際医療福祉大学院教授を含め川崎幸病院精神科顧問や一橋大学経済学部非常勤講師、和田秀樹こころと体のクリニック院長など幅広く活躍中。

書籍では「受験は要領」がベストセラーとなり、医学部合格セミナーを全国で展開し「和田メソッド」を提唱、医学部受験の神様と呼ばれている。また、自身では和田塾緑鐡舎塾長も務め毎年無名校から多くの合格者を輩出している。

目次(※随時更新中)
  1. 第1章.過去問を有効に活用する
  2. 第2章.過去問を使って、どの科目に重点をおくかを考える
  3. 第3章.過去問を使って、その学校に的を絞った対策を行う
  4. 第4章.過去問を使って、志望校を決める
  5. 第5章.医学部受験の共通学力とは
  6. 第6章.医学部受験のための絶対基礎学力とは
  7. 第7章.絶対基礎学力としての読解力
  8. 第8章.意外にわからない絶対基礎学力の不足
  9. 第9章.受験直前に伸びる受験学力
  10. 第10章.本番戦術が合否を決める
  11. 第11章.信じるものが救われる本番に向かう精神力
  12. 第12章.意外に難しいケアレスミス対策
  13. 第13章.ミスらん力で合格を勝ち取る
  14. 第14章.センター本番で最善の力を出すには
  15. 第15章.センター本番で最善の力を出すには(その2)
  16. 第16章.センター試験が終わった時点で、本格的な受験生になる
  17. 第17章.個別性に注目して、最後の逆転にかける
  18. 第18章.過去問の最終利用法(※編集中)
  19. 第19章.受験当日の生活術
  20. 第20章.受験のスタート術
  21. 第21章.受験生と高校生の違いとは?
  22. 第22章.記憶力をどう高めるか?(※編集中)
  23. 第23章.ベストの睡眠時間は?
  24. 第24章.食事の意味
  25. 第25章.時間の家計簿をつける
  26. 第26章.休息の意味
  27. 第27章.和田式受験勉強法とは
  28. 第28章.まず志望校を選ぶ
  29. 第29章.志望校の選び方
  30. 第30章.私立専願という選択肢
  31. 第31章.スタートレベルを知る
  32. 第32章.現実的な受験計画を立てる
  33. 第33章.受験計画が具体的なものにならない人のために
  34. 第34章.一日、一週間、一カ月の計画をどう立てるか?
  35. 第35章.受験勉強の暗記と思考のバランス
  36. 第36章.和田式暗記数学とは
  37. 第37章.和田式暗記数学とは(その2)
  38. 第38章.和田式医学部受験英語攻略法
  39. 第39章.医学部受験対策にこそ和田式受験英語勉強法
  40. 第40章.医学部受験と英作文
  41. 第41章.自由英作文という難敵
  42. 第42章.医学部国語対策の基本戦術
  43. 第43章.医学部理科対策の基本戦術
  44. 第44章.過去問から逆算する医学部理科対策
  45. 第45章.単科の医学部は、とくに過去問対策が重要
  46. 第46章.単科の医学部の生物対策
  47. 第47章.医学部入試面接は落とすためのもの
  48. 第48章.どんな受験生が面接で落とされるのか?
  49. 第49章.医学への興味や関心を示す
  50. 第50章.医学小論文対策の基本
  51. 第51章.小論文そのものの対策の基本
  52. 第52章.小論文の最大のトレーニングは添削
  53. 第53章.模試をどう利用するか
  54. 第54章.模試によって次回以降の戦術を立てる
  55. 第55章.模試の成績を気にしすぎない
  56. 第56章.最高の模試は、自分の志望校の入試問題だ
  57. 第57章.あと何点取れれば受かるという発想をもつ
  58. 第58章.改めて志望校を決める
  59. 第59章.主要科目の見切り時
  60. 第60章.浪人のための得点術
  61. 第61章.朝の5分の計算の意味
  62. 第62章.直前期に脳の働きを高める
  63. 第63章.直前期に思い切り勉強する
  64. 第64章.直前期の生活術
  65. 第65章.直前期の休み方
  66. 第66章.センター直前はシミュレーションが明暗をきめる
  67. 第67章.ミスの事前対策を行う
  68. 第68章.これからが本格的な受験生になる
  69. 第69章.高2生もこれからが本格的な受験生になる
  70. 第70章.受験直前でもまだ伸びる
  71. 第71章.受験本番に強くなる法(その1)
  72. 第72章.受験本番に強くなる法(その2)
  73. 第73章.受験本番が終わったら
  74. 第74章.受験がうまくいかなかったら
  75. 第75章.2020年入試改革の傾向と対策(その1)
  76. 第76章.2020年入試改革の傾向と対策(その2)
  77. 第77章.2020年入試改革の傾向と対策(その3)
  78. 第78章.2020年入試改革の傾向と対策(その4)