医学部合格への道
単価の医学部の対策方法(医学部合格への道/第45回)

医学部受験の特殊な点

『医学部合格への道』第45章.単科の医学部は、とくに過去問対策が重要

医学部受験はほとんどが単価の大学となります。

医学部受験が他の学部の受験と大きく異なる点に、単価の大学が多いということが挙げられます。

では、これに対してどのように対策をしていったら良いのか?今回、第44回は、医学部受験の神様、和田秀樹先生より、事前の準備と対策について詳しくお話いただきました。

第45章.単科の医学部は、とくに過去問対策が重要

さて、前回は医学部理科対策における過去問対策の重要性を説明した。

医学部受験の特異性の一つに、単科の大学が多いということがある。

県立の医大、一部の国立大学もそうだが、私立の場合、ほとんど単科と言っていい。(総合大学でも医学部だけ別の入試になる場合、単科と変わらないことが多い)

たとえば東大の場合、数学の問題を出題できる教員の数は膨大だ。理学部の数学科があるし、教育学部にも数学教育の先生もいるだろう。統計学の教授もいるし、経済学部で数学を専門にする教授もいる。

要するに100人くらい出題できる先生がいて、その中からピックアップされる。私の知り合いの数学科の教授によると、毎年、問題は作るが、自分の作った問題が採用されるのは、5年に一度ほどだということだ。

いっぽう、単科の医学部の場合、数学の問題を作る教員は、ふだん医学を教えているが数学オタクのような教授がいる可能性はないわけではないが、一般的に、教養課程に雇われる一人か二人というレベルの教員ということになる。

傾向が偏るのは当然と言える。

最近は、単科の医学部に看護系の学部などが併設されるようになっているが、教養課程の数学の教員などは、その両方を兼ねることが多いようだ。

物理についても似たような状況だろう。

高校の教師と比べて、大学で教えるような教員は、自分の専門分野を持っていることが多い。つまり、そういう人が一人や二人で出題するとどうしても、出題傾向や出題分野が偏ってしまうのだ。

単科の医学部受験の場合は、その分、過去問の分析が重要なカギを握る。

とくに複数年の問題をみてみて、ここが狙われているという読みができれば、その対策を重点的にしていったほうが圧倒的に有利だし、予備校等の講習を受けるにしても、その分野に絞っての講習を受けるのが賢明だ。

傾向がつかめても、苦手という場合は、志望校を変えるという選択もあるし、その分野だけ、学校の教師や塾の教師、家庭教師などに頼ると費用対効果が高い。

とにかく、単科の医学部の場合、過去問分析をきちんとやっておいたほうが圧倒的に有利だ。

もちろん、その先生がやめてしまって、別の先生に変わった場合はそうならないが、これだって、大学のホームページで教員紹介をきちんと見ていれば、傾向が変わるという予測が立つし、その科目が得意でなければ、その学校はパスしたほうが安全だろう。

プロフィール
和田秀樹

和田秀樹

1960年生まれ。東京大学医学部卒業後、現在国際医療福祉大学院教授を含め川崎幸病院精神科顧問や一橋大学経済学部非常勤講師、和田秀樹こころと体のクリニック院長など幅広く活躍中。

書籍では「受験は要領」がベストセラーとなり、医学部合格セミナーを全国で展開し「和田メソッド」を提唱、医学部受験の神様と呼ばれている。また、自身では和田塾緑鐡舎塾長も務め毎年無名校から多くの合格者を輩出している。

目次(※随時更新中)
  1. 第1章.過去問を有効に活用する
  2. 第2章.過去問を使って、どの科目に重点をおくかを考える
  3. 第3章.過去問を使って、その学校に的を絞った対策を行う
  4. 第4章.過去問を使って、志望校を決める
  5. 第5章.医学部受験の共通学力とは
  6. 第6章.医学部受験のための絶対基礎学力とは
  7. 第7章.絶対基礎学力としての読解力
  8. 第8章.意外にわからない絶対基礎学力の不足
  9. 第9章.受験直前に伸びる受験学力
  10. 第10章.本番戦術が合否を決める
  11. 第11章.信じるものが救われる本番に向かう精神力
  12. 第12章.意外に難しいケアレスミス対策
  13. 第13章.ミスらん力で合格を勝ち取る
  14. 第14章.センター本番で最善の力を出すには
  15. 第15章.センター本番で最善の力を出すには(その2)
  16. 第16章.センター試験が終わった時点で、本格的な受験生になる
  17. 第17章.個別性に注目して、最後の逆転にかける
  18. 第18章.過去問の最終利用法(※編集中)
  19. 第19章.受験当日の生活術
  20. 第20章.受験のスタート術
  21. 第21章.受験生と高校生の違いとは?
  22. 第22章.記憶力をどう高めるか?(※編集中)
  23. 第23章.ベストの睡眠時間は?
  24. 第24章.食事の意味
  25. 第25章.時間の家計簿をつける
  26. 第26章.休息の意味
  27. 第27章.和田式受験勉強法とは
  28. 第28章.まず志望校を選ぶ
  29. 第29章.志望校の選び方
  30. 第30章.私立専願という選択肢
  31. 第31章.スタートレベルを知る
  32. 第32章.現実的な受験計画を立てる
  33. 第33章.受験計画が具体的なものにならない人のために
  34. 第34章.一日、一週間、一カ月の計画をどう立てるか?
  35. 第35章.受験勉強の暗記と思考のバランス
  36. 第36章.和田式暗記数学とは
  37. 第37章.和田式暗記数学とは(その2)
  38. 第38章.和田式医学部受験英語攻略法
  39. 第39章.医学部受験対策にこそ和田式受験英語勉強法
  40. 第40章.医学部受験と英作文
  41. 第41章.自由英作文という難敵
  42. 第42章.医学部国語対策の基本戦術
  43. 第43章.医学部理科対策の基本戦術
  44. 第44章.過去問から逆算する医学部理科対策
  45. 第45章.単科の医学部は、とくに過去問対策が重要
  46. 第46章.単科の医学部の生物対策
  47. 第47章.医学部入試面接は落とすためのもの
  48. 第48章.どんな受験生が面接で落とされるのか?
  49. 第49章.医学への興味や関心を示す
  50. 第50章.医学小論文対策の基本
  51. 第51章.小論文そのものの対策の基本
  52. 第52章.小論文の最大のトレーニングは添削
  53. 第53章.模試をどう利用するか
  54. 第54章.模試によって次回以降の戦術を立てる
  55. 第55章.模試の成績を気にしすぎない
  56. 第56章.最高の模試は、自分の志望校の入試問題だ
  57. 第57章.あと何点取れれば受かるという発想をもつ
  58. 第58章.改めて志望校を決める
  59. 第59章.主要科目の見切り時
  60. 第60章.浪人のための得点術
  61. 第61章.朝の5分の計算の意味
  62. 第62章.直前期に脳の働きを高める
  63. 第63章.直前期に思い切り勉強する
  64. 第64章.直前期の生活術
  65. 第65章.直前期の休み方
  66. 第66章.センター直前はシミュレーションが明暗をきめる
  67. 第67章.ミスの事前対策を行う
  68. 第68章.これからが本格的な受験生になる
  69. 第69章.高2生もこれからが本格的な受験生になる
  70. 第70章.受験直前でもまだ伸びる
  71. 第71章.受験本番に強くなる法(その1)
  72. 第72章.受験本番に強くなる法(その2)
  73. 第73章.受験本番が終わったら
  74. 第74章.受験がうまくいかなかったら
  75. 第75章.2020年入試改革の傾向と対策(その1)
  76. 第76章.2020年入試改革の傾向と対策(その2)
  77. 第77章.2020年入試改革の傾向と対策(その3)
  78. 第78章.2020年入試改革の傾向と対策(その4)