和田式暗記数学その２

今回第37回目は、前回の和田式暗記数学の具体的な取り組み方についてです。

今回も医学部受験の神様、和田秀樹先生に受験界でも有名な和田式暗記数学についてお話いただきます。

第37章．和田式暗記数学とは（その２）

(前回からの続き）ということで、和田式暗記数学というのは、解法を理解しながら暗記し、それによって、実際の入試のときに見たことのある問題を増やすことで対応しようという勉強法である。

確かに、私が『受験は要領』という本を書いた当時は、その辺をあいまいにしていたため、誤解が多かったのも事実だ。そのため、私は、オリジナル版の『受験は要領』や『数学は暗記だ』を絶版にしたことがある。

ただ、「数学は理解だ」といわれるより、「暗記していれば受かれるかもしれないと思うほうが劣等生をやる気にするし、実際、そのおかげで自分も東大に入れた」という何人かの和田式受験勉強法で東大に入り、私の緑鐵受験指導ゼミナールで講師をしている学生に聞かされ、『受験は要領』はＰＨＰ文庫からある程度内容を改訂して出版している。

さて、和田式の暗記数学というのは、私は三つのステージがあると思っている。

第一段階は、暗記数学には関係ないように思われるかしれないが計算力である。計算が速くて正確でないと、センター試験や医学部入試には対応できないのは言うまでもないが、暗記数学にも対応できない。

前回論じたように、１０行もある数式を覚えるためには、上の式が下の式にどうして変形されるのかを理解していないといけないのだが、そのためにはやはりそこがすぐに計算できないといけない。

基本的な計算力がない人間には理解型暗記も暗記数学も困難だ。

第二段階が、解法暗記である。

前回も論じたように、いろいろな単元で、５０～１００問の解法を暗記しておくと、医学部入試でも標準レベルの問題については、まず対応できるし、少なくとも合格点レベルくらいの問題で、解答の方針が立つ。

数学教育の中で、ここを自力で解けというから無理がくる。できる子はそれが可能だし、そのスピードも速い。しかし、できない子は、それにものすごく時間がかかって、挫折してしまう。

私が暗記数学を思いついたのも、当時の灘の優等生は、私が１時間かかっても解けない問題を５分や１０分で解く姿を見たからだ。解法暗記をしないと勝ち目はない。

しかし、和田式暗記数学はそれで終わらない。

第三段階が試行力である。要するに、実際の入試問題をこれまで覚えてきた解法を使って、今度は自力で解くトレーニングをしろということだ。

あれこれとこれまで覚えた解法を使って、「あのやり方でできるかも」ダメなら「別のやり方を試してみよう」という試行で数学の難問にあたっていくのだ。

私の考える最新の、私の通信教育を通じて、より多くの受験生に利用可能になったと私が信じる和田式暗記数学をまとめた本に、『増補2訂版 数学は暗記だ!』がある。参考にしてもらえると嬉しい。